全2451文字

 大阪大学発のバイオ企業であるアンジェスは5月25日、大阪大などと共同開発している新型コロナウイルスに対するDNA(デオキシリボ核酸)ワクチンについて、マウスとラットへの投与によって体内にウイルスに対する抗体ができていることを確認したと発表した。

アンジェスは7月にも初期の臨床試験を始めるとしている(写真は3月、大阪大学と開発に乗り出すと発表した記者会見)

 現時点では動物体内に抗体ができていることを確認しただけで、できているのがウイルスの感染抑制につながる抗体なのか、ワクチンの投与によって実際にウイルス感染を減らせるのかは明らかではない。同社では今後、動物での評価を行い、「7月にも初期の臨床試験を開始し、早ければ年内にも使えるようにしたい」としている。製造については宝ホールディングスの子会社であるタカラバイオが協力しており、原料の調達を含めて、年内に20万人分のワクチンを製造する体制にめどは付いている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大から時間がたつとともに、治療薬やワクチンの開発に関する報告が増えてきた。ワクチンでは18日、メッセンジャーRNA(リボ核酸)でできたワクチンの開発を進めていた米バイオベンチャーのモデルナが、初期の臨床試験の中間的な解析で前向きなデータが得られたと発表した。同社では、7月にも大規模な臨床試験を開始する計画。生産についてはスイスのロンザと提携しており、年間10億本規模の生産能力を確保していく方針だ。

 また、20日には米イノビオ・ファーマシューティカルズがDNAワクチンに関して、動物実験で抗体の産生と免疫の誘導を確認したとする論文を英科学誌ネイチャーの関連媒体に発表している。22日には中国カンシノ・バイオロジクスがコロナウイルスのたんぱく質の遺伝子をウイルスベクターで導入するワクチンについて、初期臨床試験の結果を英医学誌ランセットに発表した。

 このように、感染症克服の決め手と期待されるワクチンの開発の可能性が徐々に見え始めてきたが、実際に我々が接種を受け、感染を気にしないで生活できるようになるのはいつごろになるのだろうか。