厚生労働省は新型コロナウイルス感染症に対するワクチン2品目を特例承認した(写真:PIXTA)
厚生労働省は新型コロナウイルス感染症に対するワクチン2品目を特例承認した(写真:PIXTA)

 厚生労働省は2021年5月20日、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン2品目の特例承認を了承した。対象はアストラゼネカの「バキスゼブリア筋注」と、武田薬品工業の「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の2品目。ともに5月21日に特例承認された。

 このうち、米モデルナのワクチンは武田薬品が輸入して国内供給を行う。英アストラゼネカのワクチンは、1億2000万回の接種分のうち、3000万回分は米国で製造した原液を利用するが、9000万回分は国産のワクチン原液を使用する計画。つまりアストラゼネカの製品は、日本で製造する初めての国産COVID-19用ワクチンということになる。この原液製造を担うのが、兵庫県芦屋市に本社を置く製薬企業のJCRファーマだ。

技術的なハードルが高い原液製造

 アストラゼネカのワクチンの製造に関しては、第一三共と、明治ホールディングスの連結子会社であるKMバイオロジクスも関わっているが、両社が行うのはアストラゼネカから供給されるワクチン原液を容器に充填したり、包装したりする製剤化だ。これに対してJCRファーマが行うワクチン原液の製造は、海外で製造されたものと同じ品質で製造することが求められ、技術的なハードルが極めて高い。

 だが、JCRファーマではその難題に取り組み、年初から製造を開始して3月には出荷にこぎ着けた。売上高が約300億円の中堅製薬である同社にとって、相当チャレンジングなことだったに違いない。

 JCRファーマは、たんぱく質医薬や再生医療製品などを製造・販売しており、日本の製薬企業としては珍しくバイオ技術を強みとしているが、これまでワクチンを製造した経験はなかった。にもかかわらずワクチン原液製造を引き受けたのは、同社の有する技術がアストラゼネカのワクチン製造に適していたからだ。

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