研究開発センターがある米ボストンのグローバルハブ
研究開発センターがある米ボストンのグローバルハブ

 武田薬品工業は2021年度の決算発表に合わせ、開発後期にある2品目の開発中止を新たに発表した。アイルランドのシャイアー買収時に膨れ上がった有利子負債削減のめどを付け、22年度に増収と2桁の営業増益になるとの見通しを発表するなど業績自体は好調だが、研究開発は苦戦が続く。クリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)は5月11日の決算説明会で長期成長に自信を見せたが、どんなシナリオを描いているのか。

 製薬企業には大型製品の特許切れとともにジェネリックに市場を奪われ売上高が急落する“特許の崖(パテントクリフ)”が存在するが、武田薬品もそのリスクにさらされている。22年5月には21年度に1100億円を売り上げた抗がん剤の「ベルケイド」(一般名ボルテゾミブ)が、さらに23年8月には同約3300億円を売り上げた神経精神疾患領域の治療薬「ビバンセ」(同リスデキサンフェタミン)が、相次いで独占販売期間の満了を迎える。

 だが、ウェバーCEOは「逆風は一時的なもので、成長ドライバーにより成長を持続できる」と長期成長に自信を見せた。

 ウェバーCEOのシナリオによると、22年度はベルケイドの売り上げを失っても、既に発売済みのうち同社が「成長製品・新製品」と位置付ける10の製品群の成長などにより、為替の影響を除くと1桁台後半の成長を実現する。そして、23年度はビバンセの影響を受けても売上収益は前年比でほぼ横ばい、コア営業利益は「21年度を下回ることはない」(ウェバーCEO)という水準で推移する。

 問題はその後、21年度に5000億円超を売り上げた炎症性腸疾患治療薬の「エンティビオ」のジェネリック(後発薬)が登場することだ。

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