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 京都市に本社を置く中堅製薬企業、日本新薬の業績が好調だ。2020年3月期の連結売上高は、前年同期より1.7%増の1166億3700万円で、営業利益は5.0%増の216億6800万円となった。

 連結売上高の増加は10年連続、営業利益は2016年3月期以降、4期連続の増益だ。2021年3月期の予想でも、売上高が8.0%の増収で1260億円、営業利益は15.4%増の250億円を見込んでおり、増収増益基調は続きそうだ。

核酸医薬の研究は、つくば市にある東部創薬研究所で行っている

 その同社が決算説明会で発表したのは、新型コロナウイルスに対する核酸医薬の開発だ。

 同社は今年3月、デュシェンヌ型筋ジストロフィーというまれな遺伝性の疾患を対象とする核酸医薬「ビルテプソ」(一般名ビルトラルセン)について、厚生労働省から承認を取得した。核酸医薬という新しいタイプの医薬品が承認を得るのは日本では4品目め。ただ、これまでの3品目はいずれも欧米企業が輸入するもので、国産の核酸医薬としては日本新薬のビルテプソが初めてとなる。

 業績好調といえども、売上高1000億円強というのは製薬産業の中ではかなり小さい方だ。シャイアーの買収で3兆円を超えた武田薬品工業はともかく、この業界では、アステラス製薬や大塚ホールディングス、第一三共など、売上高1兆円前後の会社が珍しくない。それでも核酸医薬というユニークな技術を武器に、新型コロナウイルスにも立ち向かおうとしている。

核酸の配列をうまく設計する

 核酸というのは、遺伝情報を記録したゲノムなどを構成する物質だ。デオキシリボ核酸(DNA)ではA、G、C、Tの4種類、リボ核酸(RNA)ではA、G、C、Uの4種類があって、その配列によって遺伝情報が伝えられていることはよく知られている。

 核酸医薬はこの配列をうまく設計することによって、薬としての作用を発揮させるものだ。