
2023年5月11日に22年度(23年3月期)の決算発表を行った武田薬品工業。22年度の業績自体は売上収益が前年同期比12.8%増の4兆274億円、営業利益が同6.4%増の4905億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同37.8%増の3170億円と堅調だった。だが、23年度の業績予想は前年同期比4.7%減の3兆8400億円、営業利益は同28.8%減の3490億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同55.2%減の1420億円と、減収減益を見込んでいる。
減収の主因は、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬の「ビバンセ」が米国で、高血圧症治療薬「アジルバ」が日本で、特許期間の満了を迎えることだ。加えて、22年度に約600億円の売上収益があった新型コロナウイルス(COVID-19)向けワクチンの供給がほぼなくなるのも大きい。
23年度には、(1)潰瘍性大腸炎を対象にした「エンティビオ」の皮下投与製剤が米国で、(2)免疫グロブリン製剤「ハイキュービア」の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に対する適応追加が米国と欧州で、(3)デング熱ワクチンの「キューデンガ」が米国などで、(4)先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)を対象とする第3相臨床試験で良好な結果を示したTAK-755が米国で、それぞれ承認を取得する可能性がある。それでも主要製品の特許期間満了とCOVID-19ワクチンによる減収分を補うことはできず、減収減益は避けられないというわけだ。
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