武田薬品工業は5月13日、2020年3月期の業績を発表した。今回がアイルランドのシャイアーを買収して以来、初めてとなる通期の決算発表。売上収益は前年同期を57%上回る3兆2912億円となった。財務ベースの営業利益は前年同期よりは58%の減少となったが、20年2月に発表した業績修正時の値を大きく上回って1004億円となった。コア営業利益は前年同期比では110%増の9621億円となった。資産売却による負債の圧縮も進んでいる。

2025年3月期までに承認取得を見込む新製品で特許切れをカバーし、それ以降の新薬群にバトンをつなごうとしている(写真は19年1月、西村尚己/アフロ)
2025年3月期までに承認取得を見込む新製品で特許切れをカバーし、それ以降の新薬群にバトンをつなごうとしている(写真は19年1月、西村尚己/アフロ)

 「2019年度の業績を大変誇りに思っている。我々が将来に対して自信を深めていることを理解してもらえると思う」。メディア向けカンファレンスコールの冒頭、クリストフ・ウェバー社長は自信たっぷりに語った。

 確かに、ノンコア資産の売却が順調に進み、財務体質は改善に向かっている。買収時に100億ドルの資産売却の目標を掲げたが、20年3月期中に5つの公表案件で77億ドルの資産売却が進み、目標に近づいている。

 純有利子負債をEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割った財務レバレッジは、19年3月末の4.7倍から20年3月末は3.8倍となり、22年3月期から24年3月期に2倍にするという目標に向けて順調に低下している。コストシナジーは14億ドルを目標に掲げていたが、20年3月期に既に11億ドルを達成し、目標を20億ドルに増やした。今回さらに22年度3月期までに23億ドルを達成すると、目標を引き上げた。

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