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(写真:ロイター/アフロ)

 中外製薬は4月23日、2020年1-3月期の業績を発表した。売上収益は前年同期比16.3%増の1794億円、営業利益は同54.7%増の741億円、四半期利益も同45.2%増の527億円と、業績は絶好調だ。

 懸念された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も今のところ大きくはない。関節リウマチ治療薬の「アクテムラ」が重症のCOVID-19による肺炎に効果が期待されるとして国内外で臨床試験が進められており、今後は業績への上乗せも期待できそうだ。

COVID-19の影響はまだ限定的

 好業績のけん引役は血友病Aに対する治療薬の「ヘムライブラ」だ。国内売上高は前年同期より192.6%増の79億円、親会社であるスイス・ロシュへの輸出分も含めて海外売上高は1128.6%増の86億円。これ以外に、ロイヤルティーおよびプロフィットシェアが前年同期比92.7%増の264億円。この増加分の大半はヘムライブラのものと見られ、この金額は営業利益に直結する。

 中外製薬が扱う医薬品は抗がん剤を中心に病院向けのものが多いため、COVID-19の業績への影響は今のところ限定的だ。ただ、今後は業績への影響も懸念される。

 例えば、既存の血友病治療薬で治療を受けている患者がヘムライブラに切り替える場合、教育入院や、毎週の通院が必要になる。このため、新たな患者への導入を見合わせている医療機関もあるといい、COVID-19が長引けば影響は出てくるだろう。

 決算説明の電話会議で上席執行役員の板垣利明CFOは、新製品の市場導入や浸透の遅れの他、承認申請や審査対応などの遅れ、治験の開始時期や進捗の遅れ、創薬研究、設備投資の時期の見直しなどの影響を受ける可能性を挙げた。そして「期初に予定していなかった一時的な対策費が発生する可能性もある。ただ、製品の供給は現状で遅延はないし、今後も安定供給には支障を来さないように取り組んでいく」と語った。

ロシュは重症330例で臨床試験

 一方で注目されるのが、中外製薬が創製し、ロシュがグローバルに販売している関節リウマチ治療薬のアクテムラの動向だ。