検査を増やして感染している人を明らかにして、重点的に対策を取る考え方もあるのではないでしょうか。

尾身氏:検査を増やす努力は現在も保健所などで行われていますが、いまのフェーズは検査を強化して何とかできる状況ではありません。日本人全員に3日に一度とか、週に一度検査を行って対策を取れればいいですが、日本の状況でそれをすぐにやるのは困難でしょう。検査を増やすことは重要だし、モニタリング検査はやるべきですが、いま検査を増やすだけで感染がすぐに下がることはないと思います。

災害医療のような考えで取り組む必要がある

大阪は既に医療が逼迫しているということですが、そうなる前に対策は取れなかったのでしょうか。

尾身氏:大阪の場合、2回目の宣言を解除するのが早かったとか、重点措置をもう少し早く打ち出すべきだったとか、色々な議論があります。今回は変異株の問題もあります。変異株が、大阪の人たちの予想を上回る速さだったということではないでしょうか。

医療の逼迫に対して、打つ手はないのでしょうか。

尾身氏:プレハブの施設を建設したりしていますが、医療従事者が集まりません。医療の逼迫をしのぐには、大阪だけの取り組みでは困難です。外からの支援が必要です。自然災害と同じで、災害医療のような考えで取り組まないと難しいと思います。

そこまで危機的な状況にあるということが、政府にも国民にも認識されているでしょうか。

尾身氏:経済のこともあるし、色々な立場の人が色々な声を上げています。経済的に大変な人がいるのも確かですから、今まで以上に経済的な支援をしっかりやって、感染拡大を抑え込む必要があります。今回の場合は集中的にがんと抑えた方が、経済全体にとってもいいと思います。

 今回、しっかりと対策を取って抑え込めるかどうかは、政治も社会も試されているのだと思います。

 1回目はみんな比較的協力してくれました。よく分かっていませんでしたから。そして2回目は飲食の場が感染の中心だと分かっていたので、そこを中心に対策を取ってある程度減らすことができました。

 今回は変異株という感染力が強いのが出てきた。それに1回目、2回目の経験もあります。そういう経験も生かして、強い覚悟で取り組むべきです。

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