国会では、「2回目よりも強い対策を、集中的に行う必要がある」と発言されています。これはどういうことでしょうか。
尾身氏:理由は幾つかあります。
1つは変異株の問題です。変異株は感染力が強く、比較的若い人でも重症化する。だから前よりも強い対策を取らなければならない。
それから、2回目の緊急事態宣言のときは飲食の場面で感染しやすいことが分かっていたから、重点的に対策を取った。それで新規の感染者数は減っていきましたよね。
ですがいまは感染の場所が職場、学校、カラオケ店と多様化してしまっている。一言でいうと、地域の中で感染を起こすような場所が増えている。もちろん、町を歩いていて感染するようなことはありませんが、人が密になる場所が増えているということです。
多くの人にしっかりと感染対策への協力をいただいていますが、一部に感染対策が十分ではない人がいることも事実です。感染対策が十分ではない人がいて、そういう人と接触する場面が至る所にあるのは確かです。
その結果、大阪は医療の崩壊に至りました。東京もそうなるかもしれません。そうなると対策としては、感染が起きないような環境をつくるしかないわけです。だから人が集まるような所を制限するという議論が出てきている。必ずしもクラスターが起きていなくても、人が集まるような場所が開いていれば、そこに行く人はいるし、行けば色々と動きます。すると感染している人と接触する場面も増えます。
だから人と接触する機会を減らすために強く制限する。そういう時期に来ているのです。強く制限して、一度感染者数を減らす必要があります。
それからもう1つは、多くの人が慣れてきてしまっているので、強いメッセージを出す必要がある。感染症学であると同時に心理学でもあるわけです。そういうことも頭に入れて、対策を打ち出さなければなりません。
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