楽天メディカルの新しいタイプのがん治療が、日本の医療機関の間に徐々に浸透している。日本人研究者が考案した光免疫療法がそれで、同社は「アルミノックスプラットフォーム」と称している。日本以外の国では比較試験を実施中で、対象疾患を広げる臨床試験などにも取り組んでいる。

楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏が、膵臓(すいぞう)がんを患った父を救いたいと探し回り、米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆氏の研究に目を付けた──。2020年9月に厚生労働省が条件付き早期承認制度の下で承認した光免疫療法薬「アキャルックス」(セツキシマブサロタロカンナトリウム、開発番号=ASP-1929)の開発物語はこう始まる。
光免疫療法は、がん細胞に結合する抗体と、光に反応する化合物、レーザー光とを組み合わせ、がん細胞を破壊する治療法だ。
日本人のアイデアを形に
NIHは12年夏、米アスピリアン・セラピューティクス(現楽天メディカル=米カリフォルニア州)という小さなスタートアップに小林氏の研究を実用化する許可を出した。だが、アスピリアンの資金調達は難航した。そこに現れたのが三木谷氏だった。
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