ジェネリックメーカーの団体である日本ジェネリック製薬協会(JGA)会長で、高田製薬社長の高田浩樹氏にインタビュー。ジェネリックメーカーで品質問題が相次ぐ背景や、市場で供給不足が生じている原因について聞いた。

ジェネリック市場は政府による使用促進策を受けて拡大を続けてきましたし、ジェネリック業界には成長企業が幾つもあると思っていました。ところがここへきていろいろ問題が噴出してきました。どうして今、問題が噴き出してきたのでしょうか。

高田浩樹(たかだ・ひろき)氏
高田浩樹(たかだ・ひろき)氏
1993年3月東京薬科大学薬学部卒業、2008年3月博士号取得(薬学)。1998年1月高田製薬入社、2010年12月同社代表取締役社長(現任)。現在、日本ジェネリック製薬協会会長、日本製薬団体連合会理事を務める。(写真=小林淳)

高田浩樹社長(以下、高田社長):不祥事の発端はコンプライアンスの問題です。コンプライアンス意識が低かったことで、品質に問題が生じていた。それに伴って、短期間、品目によっては長期間にわたって製造がストップし、供給にも影響が及んでいます。根本にはコンプライアンスの問題があると認識しています。

 コンプライアンスの問題が生じた理由は1つではなく、各社それぞれの事情があると思います。JGA、あるいはジェネリック企業として言えるのは、これまでジェネリックの使用割合を80%にするという数値目標に向けて生産量を伸ばしていかなければならなかったということです。しかも、かなり短期間で実現するという目標設定がなされた。そのため、人材育成や品質に対する設備投資、あるいはコンプライアンスや品質に対する意識づけが追いついていなかったと思います。

そうした認識は、5年前、10年前にはなかったのですか。

高田社長:ジェネリックの品質や安定供給に対する漠然とした懸念は以前からあったのだと思います。当局からも、目標数値の達成を目指す一方で、そういうところはしっかりとやってほしいと言われていましたので、恐らくそこはしっかりとやっていかなければならないと、みんな当然、認識していたと思います。ただ、それが個々の企業の中で少し見失われていたり、しっかりと見られていなかったりしたのでしょう。

特許が切れると、幾つもの会社が、場合によっては10社以上が、一斉に製品を投入する。しかも特許切れのタイミングで発売できなければシェアを取れない。そのため、十分に製剤設計する余裕もなく製品開発しているのではないかという声を聞きます。早く発売してシェアを取る方に意識が行きすぎていたのではないですか。

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