新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に対して欧米に比べてワクチンの導入が遅れた反省から、国は次のパンデミック(世界的大流行)に備えたワクチンの研究開発の司令塔となる組織を設置。2022年4月4日には初の戦略推進会合を開き、ワクチンの開発・生産体制の強化に動き出した。

 動き出した組織は「先進的研究開発戦略センター(SCARDA)」。内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が一丸となって、長期的・安定的にワクチンの研究開発を支援するために設立した組織で、ワクチンの基礎研究から実用化に向けた開発までを一気通貫で戦略的に進める。

「先進的研究開発戦略センター(SCARDA)」は3月22日に設置された
「先進的研究開発戦略センター(SCARDA)」は3月22日に設置された

 2021年6月に閣議決定した「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に基づいて設けられたものだ。「切り札はワクチンだ」と語って、米ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)に直談判するなど奔走した菅義偉前総理大臣の置き土産である。

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