約6兆円を投じる「世紀のM&A」で世界トップ10に入る巨大製薬企業への道を開いた武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)。研究開発も海外主導で、経営チームの出身国も多様な、真のグローバル企業へと変貌した。CEO就任から7年がたった今、自身が進めた変革をどう評価するのか。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行、編集委員 橋本 宗明)
![クリストフ・ウェバー[Christophe Weber]氏 武田薬品工業社長兼CEO](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/033100118/p1.jpg?__scale=w:500,h:375&_sh=09b0410550)
CEO(最高経営責任者)に就いて7年。アイルランドのシャイアーを約6兆円もの巨額で買収し、当時5兆円あった有利子負債を3兆円台まで減らしました。ご自身の経営改革はどのぐらいまで進んだと評価していますか。
クリストフ・ウェバー武田薬品工業社長兼CEO(以下、ウェバー氏):本当に多くの進捗を達成できました。特に大きいのは、タケダのポジショニングが世界で非常に強固になり、他のグローバル企業と戦えるレベルになったことです。世界80カ国に拠点を持ち、多くの国にまたがって販売できるようになりました。
そして、医薬品をグローバルに展開できるようになりました。現在は14のグローバルな医薬品があり、これが成長の原動力となっています。私が入社したときにはグローバルに販売する医薬品が1つもなかったのですが、14まで増えました。
パイプライン(開発中の候補品)の変革もできました。研究開発体制を大きく変更した結果、現在は40品目が臨床試験のステージにあります。その40品目のうち90%は、7年前には存在していませんでした。
私が入社した当時は従業員数が3万人規模でしたが、今では5万人を超えるほどになっています。これだけ規模が大きくなり、グローバル化が進んだにもかかわらず、タケダには日本での長い歴史から生まれた価値観がしっかり根付いている。そこに非常に満足しています。
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