3月29日付で小坂達朗会長と上野幹夫副会長が退任した中外製薬。ロシュとの提携の「申し子」と言える奥田修社長最高経営責任者(CEO)への世代交代が完了した。その奥田社長CEOがこだわる「独自流」とは。

中外製薬は3月29日付で小坂達朗会長と上野幹夫副会長が退任し、小坂会長が務めていた取締役会議長には奥田修社長最高経営責任者(CEO)が就任した。小坂会長と上野副会長は代表取締役も退任し、同日付で特別顧問に就任した。小坂会長は2002年のスイス・ロシュ傘下入りの際に、当時社長だった永山治名誉会長の下で交渉の責任者を務めた人物。上野副会長は永山名誉会長と同じく創業家の関係者だ。
ロシュとの提携前の1987年に入社した奥田社長CEOは、提携後にはロシュに出向してアイルランド法人の社長を務めるなど、アライアンス体制の下で国際的なマネジメント経験を積んで頭角を現してきた。いうなればロシュと中外製薬の「提携の申し子」だ。奥田社長CEOの取締役会議長就任により、中外製薬は世代交代が完了して新しい時代に入ったと言えるだろう。
その中外製薬は、2019年に策定した3年間の中期経営計画を21年2月に1年前倒しで終了。新成長戦略「TOP I 2030」を発表した。30年までに研究開発のアウトプットを2倍に増やし、自社創製したグローバル製品を毎年発売するという挑戦的な目標を掲げた。その実現手段として、デジタル化や、研究と早期開発という研究開発の早期ステージへの資源の集中、オープンイノベーションなどに取り組んでいるところだ。
あらゆる会社が「オープンイノベーション」を掲げるが……
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