これほど急速にグローバル化を進めた日本企業がこれまでにあっただろうか。武田薬品工業は同業大手の「6兆円買収」を経て、従業員もビジネスも行動指針も世界基準となった。2014年に社長に就任したクリストフ・ウェバー氏(15年から社長兼CEO=最高経営責任者)は以前から「25年まで経営に関与したい」と口にしてきた。総仕上げが近づく「ウェバー改革」の全貌を探る。

武田薬品工業が湘南研究所を開放する形で設立した「湘南ヘルスイノベーションパーク」
武田薬品工業が湘南研究所を開放する形で設立した「湘南ヘルスイノベーションパーク」

 「世界に尽くせ、タケダ」──。国内の製薬最大手、武田薬品工業がこんなコピーを掲げる2本のテレビCMを2021年12月に放映し始めた。

 その1本では、「国籍、経歴、立場の壁をなくして創薬のイノベーションを起こす」として武田薬品がダイバーシティー(多様性)を持つ組織であることをアピールする。1781年の創業から240周年を迎えたことを機に実施したブランディングキャンペーンの一環で制作した。

 そもそも、武田薬品はなぜこんなテレビCMを始めたのか。そこには「顔が見えない」と言われることが増えたという危機感があった。

「武田」から「TAKEDA」へ

 武田薬品はこの10年ほどで大きく姿を変えてきた。度重なるM&A(合併・買収)や構造改革の末、売上収益の80%以上を海外で上げるようになった。日本の従業員が占める割合はわずか11%まで減少。

 2021年3月にはビタミン剤の「アリナミン」を手掛ける大衆薬子会社、武田コンシューマーヘルスケア(現・アリナミン製薬)を米投資ファンドに売却し、一般消費者が武田薬品の名前を目にする機会も減った。

武田薬品工業の従業員数と売上収益の地域別構成比(2011年3月期と21年3月期)
武田薬品工業の従業員数と売上収益の地域別構成比(2011年3月期と21年3月期)
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 世界の製薬大手と競うグローバル企業へと変貌を遂げた一方で、日本人にとっては近づきがたい印象も与えるようになった。それを少しでも改善したいという思いが2本のテレビCMに表れている。

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