富山市の大手後発医薬品(ジェネリック)メーカーである日医工は、3月3日、富山県から医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく業務停止命令の行政処分を受けた。ジェネリックメーカーでは、2月にも福井県あわら市にある小林化工が、福井県から業務停止命令と業務改善命令の行政処分を受けたばかり。製薬業界で一体何が起こっているのか。

(写真=PIXTA)

 日医工で明らかになったのは、品質試験で「不適合」となった製品を、製造販売承認書と異なる方法で処理し、「適合品」として出荷していたことだ。また、製造管理と品質管理の体制の不備も分かった。2020年2月に県などが立ち入り調査を行ったことがきっかけとなって発覚した。

 また、小林化工の違反が明らかになったのは、同社が製造した爪水虫治療に使われる経口薬への睡眠導入剤の混入が判明したことがきっかけだ。副作用の報告が相次いだことから製造記録を確認したところ混入が見つかり、小林化工が自主回収を行った。

 混入の原因は、原薬のつぎ足しという製造販売承認書とは異なる方法により、原薬の取り違えが生じていたことだった。さらにその後、県などの立ち入り調査で、承認とは異なる方法で製造された製品が他にもあることや、虚偽の記録の作成、試験結果のねつ造、県の立ち入り検査に対する虚偽の報告なども判明した。

「なぜそんなことが起こるのか不思議」

 「小林化工で睡眠導入剤の成分が混入していたと聞いたときには、なぜそんなことが起こるのだろうと不思議だった」とある製薬企業の製造部門の関係者は言う。品質試験など、定められた通りの管理が行われていれば、混入した製品が市場に出てくることは考えられないからだ。

 ただ一方で、2016年1月に熊本市のワクチンメーカー化学及血清療法研究所(化血研、当時)が110日の業務停止の処分を受けて以来、16年4月に日本ビーシージー製造(東京・文京)、17年6月に山本化学工業(和歌山市)、19年8月に松浦薬業(名古屋市)、19年12月に協和発酵バイオで、承認書と製造実態に違いがあることなどが判明して行政処分が行われている。製薬企業で法令違反が相次いでいることは確かだ。

 ジェネリックメーカーで違反が相次ぐ一因として考えられるのは、事業の急拡大に管理体制が追いついていないことだ。例えば日医工の2020年3月期の連結売上収益は1900億円だが、500億円を超えたのは約10年前の2009年11月期のことだ。この間、政府は医療費を抑えるために、ジェネリックの使用促進に様々な手を打ってきた。製造量の急拡大に、各企業の管理体制が追いつかなかった面は否定できないだろう。

 また、過度な競争から、品質よりもコストダウンや供給量の確保を優先する意識になっていたことも考えられる。ただ、もちろんそんなことは品質管理をおろそかにする言い訳にはならない。

続きを読む 2/3 「立ち入り検査の強化」が簡単でない理由

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