キリンホールディングス(HD)傘下の製薬企業、協和キリンが2月4日に2025年までの5年間の中期経営計画を発表した。2025年までの年平均売上収益成長率(CAGR)を10%以上とし、コア営業利益率を25%以上にする目標を掲げた。2021年の予想売上収益は3510億円で、コア営業利益率は19%(金額は650億円)。これを、2025年には売上収益5000億円以上、コア営業利益1250億円以上にする目標だ。

 同社は2019年4月に、医薬品原料やアミノ酸、健康食品の製造販売を行う子会社の協和発酵バイオをキリンHDに譲渡している。その影響を除くと2019年、2020年と2期連続で増収・営業増益(コアベース)となった。業績拡大は、“グローバル3製品”と称している品目が、海外で売上収益を順調に拡大しているからだ。

 3製品とは、骨疾患の治療薬である「クリースビータ」(ブロスマブ)、抗がん剤の「ポテリジオ」(モガムリズマブ)、パーキンソン病治療薬の「ノウリアスト」(イストラデフィリン)の3つ。3製品の貢献により、2018年に32%だった海外売上収益比率は、2019年39%、2020年48%と拡大し2021年は54%を見込む。

 希少疾患などを対象とする製品でグローバル展開を果たす「グローバル・スペシャルティーファーマ」を掲げる同社の成長戦略について、宮本昌志社長にインタビューした。

<span class="fontBold">宮本昌志(みやもと・まさし)氏</span><br />1959年生まれ。85年3月東京大学大学院薬学系研究科修士課程を修了し、同年4月キリンビール入社。医薬事業本部医薬探索研究所で創薬研究に携わった後、創薬企画、戦略マーケティングなどを担当。2007年7月キリンホールディングスに出向して経営企画部主幹を務めた後、2011年1月協和発酵キリン(現協和キリン)に復帰し、2012年3月執行役員、2017年3月取締役常務執行役員、2018年3月代表取締役社長。
宮本昌志(みやもと・まさし)氏
1959年生まれ。85年3月東京大学大学院薬学系研究科修士課程を修了し、同年4月キリンビール入社。医薬事業本部医薬探索研究所で創薬研究に携わった後、創薬企画、戦略マーケティングなどを担当。2007年7月キリンホールディングスに出向して経営企画部主幹を務めた後、2011年1月協和発酵キリン(現協和キリン)に復帰し、2012年3月執行役員、2017年3月取締役常務執行役員、2018年3月代表取締役社長。

2025年までの中計で掲げた目標を金額にすると、2025年の売上収益は5000億円以上、コア営業利益は1250億円以上となる。目標はちょっと背伸びをしたものか、ある程度実現が見えているものか。

宮本昌志・協和キリン社長(以下、宮本):簡単に手が届く数字ではない。目標を高く持っているのは事実だ。ただ、とんでもない数字を出したわけでもない。しっかり戦略をやりきれば、到達できる数字だと思っている。

前中計では2020年のコア営業利益1000億円以上、海外売上収益比率50%、ROE10%以上を目標としていたが、実績はそれぞれ、600億円、48%、6.8%で、海外売上収益比率以外は大幅な未達に終わった。

宮本:その通りだ。投資家からは意見をいただいた。理由も縷々(るる)説明して、その点は理解してもらえたと思う。その分、今回はしっかりやると期待されていると思う。

2020年までの前中計の期間中にグローバル3製品の開発に成功した。2025年までの中計期間中は、やはりこれらが収益拡大のけん引役になるのか。

宮本:その通りだ。この3製品の価値をいかに最大化するかが、中計の大きなポイントだ。可能な限り、製品価値を最大化して、なるべく多くの患者に届けるということをしっかりやっていきたい。

販売国を増やせばいいというものではない

“グローバル・スペシャルティーファーマ”という目標を掲げ、必ずしも大きな市場が期待できない希少疾患向けなどの医薬品を、グローバルに展開するという戦略でやってきた。国によって規制が異なる医薬品をグローバルに展開していくのは難しくないか。

宮本:グローバル展開とは、販売国をとにかく増やせばいいというような単純なものではない。初期投資もそれなりにかかる。国によっては薬価制度なども異なるので、そういうことも検討しながら進めていく必要がある。

 クリースビータは現在二十数カ国で承認されているが、これを2025年までに倍にする目標を持っている。拠点がなかったところに広げていくのは簡単ではない。欧州では欧州委員会から承認は受けたが、まだ発売できていない国も幾つかある。

 ただ、クリースビータも、ポテリジオも希少疾患が対象なので、大きな販売部隊は必要ない。少ない投資でグローバルに広げていけると考えている。

続きを読む 2/3 再生医療は一度仕切り直し

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