前回は「ゲノム編集トマトで『ギャバ20倍』も、SNSでコンテスト」。

 生物の遺伝情報であるゲノムをピンポイントで書き換えるゲノム編集技術。この技術を使って品種改良した農水産物が、事実上の販売認可を得始めた。SNSなどで認知され、オンライン中心で販売され、一般の食卓に上っている。第3回は「肉厚マダイ、高成長トラフグ」。

リージョナルフィッシュの可食部増量(肉厚)マダイ
リージョナルフィッシュの可食部増量(肉厚)マダイ

 ベンチャー企業のリージョナルフィッシュ(京都市)は、魚類のゲノム編集を研究してきた京都大学の木下政人准教授と、養殖技術に詳しい近畿大学の家戸敬太郎教授の共同研究成果に基づいて2019年4月に設立された。

 設立は約3年前だが、プロジェクトが動き出したのは14年から。時間をかけて研究開発を進め、農水省、厚労省への届け出が受理されてようやく実用化にこぎ着けた。

 肉厚のマダイは、ゲノム編集技術により、筋肉が過剰に形成されるのを抑える遺伝子を働かないようにした。その結果、可食部の筋肉の量が約1.2~1.6倍に増え、飼料利用効率は14%改善した。

 成長が速いトラフグは、食欲を調節する遺伝子を働かないようにした。成長速度は約1.9~2.4倍になり、飼料利用効率は約4割改善した。

 ともに、届け出が受理されてからクラウドファンディングの返礼品として流通を開始。21年12月には自社のECサイトで「22世紀鯛(タイ)」「22世紀ふぐ」の商品名で切り身などの販売を開始した。フグは養殖場のある京都府宮津市のふるさと納税の返礼品としても提供している。出荷できる量が限られていることもあり、特にマダイは毎週売り出せばすぐに完売する状態が続いている。

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