愛知県蒲郡市にあるJ-TECの本社。細胞の培養用設備も有している
愛知県蒲郡市にあるJ-TECの本社。細胞の培養用設備も有している

 2021年1月29日、帝人は富士フイルム傘下の再生医療ベンチャー、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。J-TECの株式の50.13%を保有する富士フイルムは同日、この公開買い付けに応募する契約を締結したと発表しており、J-TECは富士フイルムの連結子会社から外れて帝人の連結子会社となる見通しだ。

 富士フイルムといえば、むしろ昨今、再生医療やバイオ分野での事業展開を加速させていた。2020年11月には米子会社の富士フイルム・セルラー・ダイナミクスがiPS細胞の提供や作製技術の特許権の供与を本格化すると発表。2021年1月にも2000億円を投じて米国にバイオ医薬の大型製造拠点を新設すると発表している。

 また、再生医療関連では2019年から2020年にかけて、順天堂大学発のJUNTEN BIO(東京・中央)、島根大学発のPuREC(島根県出雲市)、京都大学発のリジェネフロ(京都市)に相次いで出資。再生医療製品の受託ビジネスや創薬支援用細胞の販売などにつなげていく狙いを説明していた。

 その富士フイルムが、既に製造販売承認を取得した3つの再生医療製品を持ち、日本の再生医療のリーディング企業であるJ-TECを手放すことにしたのはなぜか。

J-TECもTOBに賛同

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