マツダは2025年をめどに、ドライバーの異常を車が検知し、安全な場所まで退避させる自動運転技術「Co-Pilot(コ・パイロット)2.0」を導入する。実用化に先駆けて実車で体験してみると、車とそれを操る人の「人馬一体」を掛け声とするマツダらしい自動運転の1つの方向性が見えてきた。

 マツダが報道陣向けに技術体験会を開いたのは、晴天に恵まれた12月初めの東京・台場。スタート地点となったホテルから車に乗り込み、一般道を走りながら機能を体験する。道は比較的空いていたが、路肩にはトラックや乗用車が止まっており、人工知能(AI)の威力を試すにはちょうどいい障害物といえた。

 技術体験車はダークグレーの「マツダ3」。ボンネットと車体側面に「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」と記されている。Co-Pilotとは英語で「副操縦士」。米テスラが自社の自動運転機能を「オート・パイロット」と呼ぶのとは対照的に、この技術ではドライバーがあくまでも主役で、機械は支援役と位置づけているマツダの考え方が見てとれる。

マツダの自動運転技術「Co-Pilot 2.0」を搭載する車両。ドライバーの異常を検知すると安全に停車させる
マツダの自動運転技術「Co-Pilot 2.0」を搭載する車両。ドライバーの異常を検知すると安全に停車させる

AIがドライバーの異常を検知

 記者が乗り込んだのは助手席。運転席と後部座席に1人ずつマツダのエンジニアが座り、Co- Pilotの機能について説明してくれた。車はドライバーの視線の向きや頭の動き、ハンドルやペダルの操作などを常時監視し、普段の運転に比べ何らかの異常がないかを確認する。

 この日は公道上での走行だったため、万一に備えて、ドライバーが居眠りのふりをする代わりに車内のシステム作動スイッチを押すことで車に異常発生を伝えた。ここからはAIの出番だ。

 ただちに「ドライバー異常のため安全なところまで自動で走行し、停車します」という音声が車内に流れ、緊急事態であることを知らせるブザーを鳴らしながら自動運転に切り替わる。「減速します」「左に車線変更します」「100メートル先の路肩に停車します」――。随時こうしたメッセージが流れ、同乗者に安心感を与える。

 車両は周囲の車や横断歩道の歩行者などを確認しながら、無事路肩に停車した。ドライバーに異常が起きてから止まるまで約1分。停車すると、車はコールセンターにつながる仕組みになっている。

 車線変更やカーブを避けて停止するケースなど3つのシミュレーションを体験したが、どれもスムーズな運転だった。路肩に止まっている車両を回避しながら安全な場所に止まるため、後ろから追突される心配もなさそうだ。

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