原材料価格の高騰などでインフレ圧力が強まる中、自動車業界にも値上げの波が押し寄せている。電動化や先進安全装備の機能向上もあって、国産普通乗用車の平均価格は340万円に迫る。メーカー各社はローンなど売り方の工夫で「割安感」を訴え、新車離れを食い止めようとしている。

 「競合の状況、商品力などを総合的に考え、価格設定を再検討した」。11月に主力ステーションワゴン「レヴォーグ」とスポーツセダン「WRX S4」の上級モデルの価格を5万5000円上げたSUBARU(スバル)の関係者はこう語る。エンジンや内外装に大きな変更はなく、ほぼ純粋な値上げに踏み切った形だ。

 同社は12月1日、新型の多目的スポーツ車(SUV)「クロストレック」の価格も発表した。前身である「XV」の同格モデルと比べて20万円前後高くした。こちらは運転支援機能「アイサイト」のカメラを従来の2眼から3眼に増やすなど高機能化しているため、新旧の単純比較はできないが、値上げ幅を大きく感じる人はいるだろう。

 11月28日、6年ぶりにミニバン「セレナ」の全面改良を発表した日産自動車。ハイブリッド車(HV)の量販グレードは319万~368万円。機能向上を図った上で前モデルとの単純比較で約20万円高くした。さらに最上位グレード「ルキシオン」を設定。高速道路で手放し運転できる運転支援技術を搭載した。価格は479万円。兄貴分の「エルグランド」やトヨタ自動車の「アルファード」など高級ミニバンにも手が届く価格だ。

日産が6年ぶりの全面改良を発表したミニバン「セレナ」
日産が6年ぶりの全面改良を発表したミニバン「セレナ」

 セレナの2021年の販売実績は5万6000台。日産の国内新車販売の13%を占める主力車種だ。若いファミリー層が値段を見て敬遠しないよう「(270万円台からの)ガソリン車も残した」(星野朝子副社長)。所得が伸び悩む中で消費を選別せざるを得ない消費者の懐事情を無視するわけにもいかない。

「値上げしやすい地合い」

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