自動車業界の悲願である「交通事故死ゼロ」。温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンゼロ」に並ぶ長期目標として掲げるメーカーが増えている。ホンダは2050年までに自社製の自動車・二輪車が関与する事故で死者を出さないための安全技術の確立を急ぐ。全世界で交通事故による死亡者は年間およそ130万人。悲劇の起きない未来に向けた開発競争が活発になる。

 スマートフォンを見ながら歩く男性。路肩に止まっている車の前を横切って車道を横断しようと歩き出す。車の後方から走ってくるドライバーは、停止車両が妨げとなって男性の姿に気づかない。

 事故が起こってもおかしくない、こんな場面。実際に肝を冷やした経験のあるドライバーも少なくないだろう。いまのところ、走ってくるドライバーが前方を注意する以外に、こうした事故を防ぐ方法はない。

 しかし、もし見えない歩行者の存在に気づけたなら、もし歩行者が車の接近を知って立ち止まることができたなら、事故の可能性を大幅に防ぐことができるかもしれない――。こうした考えから、ホンダは交通事故のリスクを人工知能(AI)で予測し、自動車や歩行者とリアルタイムに共有する研究を進めている。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2151文字 / 全文2664文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「クルマ大転換 CASE時代の新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。