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 日産自動車は24日、小型車の「ノート」を8年ぶりに全面改良し、12月23日に発売するとオンライン発表会で公表した。ノートは、日産の国内販売台数の約2割を占める主力車種だ。

 新型ノートの最大の特徴は、ガソリン車モデルを廃止し、エンジンは発電に特化しモーターで駆動する「e-POWER」モデルのみに一本化したことだ。現行のノートに、16年に登場したe-POWERを搭載。同モデルは16年以降のノートの累計販売台数の7割を占める。星野朝子副社長は、「ゼロエミッション社会をリードするため、電動化に集中させる」と語った。

 だが、新型ノート発売の本当の意義は、電動化戦略の加速というよりも、日産が消費者の「不満」に正対し、ゴーン体制下で大きく毀損した絆を取り戻すための、“復縁”のメッセージに映る。

新型ノートは、「実用車」のイメージが強かったデザインを刷新した

 発表会で登壇したアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は「e-POWERは日本のお客さまの厳しい目によって認められた」と誇らしげに語ったが、消費者は必ずしもそうは受け止めていない。

 e-POWERはヒットした一方で、ユーザーから様々な不満も寄せられていた。新型ノートには、設計を大幅に見直した第2世代e-POWERを搭載する。e-POWERはアクセルペダルだけで加減速ができる点が斬新で人気を博した。だが、市街地走行時にペダルを素早く戻すと急に減速し「後部座席の人の頭が前に動く」(車両開発責任者の渡邊明規雄氏)といった乗り心地の悪さや、アクセル操作に敏感に反応するため運転に気を遣うといった難点が指摘されていた。

 新しいe-POWERについては、低速トルクや最大出力の向上など力強い走りに関心が向かいがちだが、実際は、運転者や同乗者にとって日常的なストレスになっていた敏感すぎる加減速の角を取るといった、こまやかな見直しを積み重ね、独り善がりではない、駆動装置としての熟成を図った点に意味がある。

 搭乗者がエンジンの騒音を感じにくくするために、荒れた路面に差しかかってロードノイズが大きくなると、すかさずエンジンを回して発電し、路面がなめらかになると停止する世界初の機構も投入。センシングの技術を、騒音問題の解消に充てた。

 新型ノートはデザインも刷新した。グローバルデザイン本部の入江慎一郎氏は、「欧州メーカーなどと比べると日本の小型車のデザインは『実用車』のイメージが非常に強い。それを払拭するために、高級車に採用するような意匠を各所に取り入れた」と話す。そのほか、駐車時の取り回しの改善やカーブの曲がりやすさなど、顧客の要望に1つひとつ応え、普及車種としての品質を底上げする改良を重ねた。

 内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は5月、事業構造改革計画「日産ネクスト」を公表し、国内市場の強化を掲げた。ゴーン体制下でグローバル投資に傾注し、国内への新車投入がおろそかになった結果、シェア低落を招いたためだ。

 日産が目指す血の通ったもの作りを新型ノートが体現できているか。「厳しい目」を持つ日本の消費者の審判がこれから下る。