日産自動車と仏自動車大手ルノーが資本関係の見直し協議を始めた。20年以上にわたる「不平等」な関係解消は日産にとって悲願といえる。ただし、ルノーが保有する日産株の買い戻しは足元の時価ベースで5000億円以上の出費となる。それに見合う実利を得られるのかは必ずしも明確ではない。

日産とルノーは資本関係の見直し協議を始めた(2020年6月、ウクライナの首都キーウ、写真:ロイター/アフロ)
日産とルノーは資本関係の見直し協議を始めた(2020年6月、ウクライナの首都キーウ、写真:ロイター/アフロ)

 10日、来日したルノーのルカ・デメオCEO(最高経営責任者)が日産の内田誠社長兼CEOと会談した。ルノーから日産への出資比率を43%から15%まで引き下げることを軸に検討する。日産がルノーに出資する15%と同じ水準となり、対等な株持ち合いになる可能性が出てきた。

 企業連合を組む日産とルノー、三菱自動車の3社は同日、共同声明を発表。ルノーが設立を準備している電気自動車(EV)専業の新会社に対し、日産が出資を検討すると明記した。3社連合の強化と将来に向けて「構造的な改善に取り組む」とした。「構造的な改善」にルノーと日産の資本関係の見直しが含まれる。

 ルノーとの資本関係の始まりは日産が経営危機のさなかにあった1999年まで遡る。ルノーは日産株の約37%を約6000億円で取得して筆頭株主となり、「コストキラー」の異名を持っていたカルロス・ゴーン被告をCOO(最高執行責任者)として送り込んだ。

ルノーは経営危機にひんしていた日産に約6000億円を出資した(1999年3月、提携を発表した日産の塙義一社長とルノーのルイ・シュバイツァー会長=いずれも当時)
ルノーは経営危機にひんしていた日産に約6000億円を出資した(1999年3月、提携を発表した日産の塙義一社長とルノーのルイ・シュバイツァー会長=いずれも当時)

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

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