トヨタ自動車が10月1日、新型の電気自動車(EV)を発売した。最高時速は人が歩く速さに近い2~10kmで、大型商業施設などでの歩行支援を目的とする。若者のクルマ離れが指摘される中、シニア層の社会参加支援というもう一つの成長市場を狙う。

トヨタ自動車が発売した立ち乗り型の3輪EV
トヨタ自動車が発売した立ち乗り型の3輪EV

 トヨタ自動車が10月1日に発売したのは、3輪EV「C+walk(シーウォーク)」の立ち乗りモデル。ショッピングセンターや空港、工場、公園といった大型施設での歩行支援を想定して開発した。

 ステップに立ってハンドル左右にあるアクセルレバーを操作するだけで発進や加減速、停止ができる。3輪で車体を安定させ、ステップの高さを15cmと低く抑えるなど、シニアでも不安を感じずに利用できるようにした。最高時速は人が歩く速さに近い2~10kmに設定できる。

 2019年10月に商品化を発表した時点では20年冬ごろの発売を想定していた。乗り手を選ばない移動手段としての完成度を高めるため細部まで改良を重ね、1年近く延期することになった。人が往来する空間でも安心して走れる障害物検知機能や下り坂などでの速度抑制機能も備えた。

 価格は35万円前後。大型商業施設のシニア警備員などを対象とする実証試験を重ねてきたトヨタは、業務の効率化や働き手の負荷軽減などの効果を測り、法人需要を見込める価格に設定した。10月時点の現行法下では公道(歩道)の走行はできないが、「電動車椅子と同様の扱いにしてもらうなど、関連法規の見直しも見据え、将来的には公道での使用も見込む」(トヨタ自動車ZEV B&D Labグループマネージャの谷中壮弘氏)。

高齢者の4人に1人が働く時代に

 脱炭素の切り札として急速に⽴ち上がったEVだが、⽇本が直⾯するシニアの社会参加という課題の解決にも重要な役割を担うことになりそうだ。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り768文字 / 全文1531文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「クルマ大転換 CASE時代の新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。