ホンダは9月30日、航空や宇宙といった“宙(そら)”への挑戦を加速させる方針を示した。2018年から進めた本田技術研究所の抜本改革により、将来を見据えた種まきに集中できる環境が整った。空飛ぶクルマを使うモビリティーサービスの事業化や、小型人工衛星を打ち上げるロケットの開発を進めていく。

 「我々に普通のことは期待されていない。普通では認められないので、チャレンジャーでありたい」

 ホンダの研究開発における使命をこう語ったのは、本田技術研究所の大津啓司社長。9月30日、電動垂直離着陸機(eVTOL)や小型ロケット、月面エネルギーシステムなどの研究開発の状況を初めて明らかにし、航空や宇宙などの分野に力を入れる方針を示した。

 ホンダの三部敏宏社長は4月の就任会見で「次の夢として、モビリティーを3次元、4次元に拡大する」と、空や宇宙、ロボットに関する研究の存在を示唆していた。今回の発表はその取り組みの内容を明確にしたものだ。

 「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL分野では、ガスタービンエンジンと電動化技術を組み合わせた「Honda eVTOL」の開発を進めている。ハイブリッド式にして400km程度の航続距離を実現し、都市内の近距離移動だけでなく中長距離の高速移動を可能にする考えだ。

ホンダが開発を進める空飛ぶクルマ「Honda eVTOL」。ガスタービンエンジンとバッテリーのハイブリッドで、25年以降の認定取得を目指す
ホンダが開発を進める空飛ぶクルマ「Honda eVTOL」。ガスタービンエンジンとバッテリーのハイブリッドで、25年以降の認定取得を目指す

 機体の開発では「ホンダジェット」での型式認定の取得経験や設計のノウハウ、自動運転車の制御技術などを応用していく。本田技術研究所の川辺俊フェローは「製造業のホンダがシステムやサービスを作る会社に業態を変えていく」と、機体開発だけにとどまらないビジョンを明かした。2025年以降に機体の認定を取得し、30年から自動車などの地上のモビリティーと組み合わせた移動サービスとしての事業展開を目指す。

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

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