
ホンダは10月2日、2021年シーズンを最後に自動車レースのフォーミュラ・ワン(F1)から撤退すると発表した。同日開いたオンラインでの記者会見で、八郷隆弘社長は「新たなチャレンジに経営資源を傾ける」と発言。これまでエンジン開発に割いていた経営資源を、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)など次世代車の研究開発領域に集中させ、50年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すという。
1964年の初参戦以来、撤退と復帰を繰り返してきたホンダ。リーマン・ショックの影響で08年に福井威夫社長(当時)が3度目のF1撤退を発表したが、15年から再び参戦した。再参戦当初は苦戦が続いたものの、19年シーズンはレッドブル・ホンダが3勝を挙げ、20年シーズンも2勝。良いニュースを耳にする機会が増えてきていたところだったが、4度目の撤退を決めた。
ホンダにとってF1は、単なる広告宣伝効果のあるモータースポーツという位置づけではない。レース用車両の開発から得られる知識と経験を市販車に生かす「走る実験室」という役割も担い、極限状態に挑戦することでエンジニアを育てる意味も大きい。
ただEVやFCV、自動運転など技術開発領域のトレンドはここ数年で急激に変化。世界的な環境規制の強化により、ガソリン車に対する逆風は強まっていた。CASE対応を迫られ研究開発費を増やさざるを得ない状況の中、数百億円ともされるエンジン開発費用は大きな負担にもなる。
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