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 日産自動車は9月3日、炭素繊維を使った「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」製部品の量産技術を開発したと発表した。2024~25年に投入する新型SUV(多目的スポーツ車)に採用する。同日開いた記者会見で、日産の坂本秀行副社長は「一部車種に利用が限られていたが、量産車へ適用する段階へ来た」と述べた。

 CFRPは炭素繊維を樹脂で固めたもので、鉄やアルミニウムなどの金属製部品よりも強度が高く、鉄に比べて約50%軽い。航空機の主翼や胴体部分に使われているほか、最近では風力発電の羽根部分への導入が進んでいる。自動車でもトヨタ自動車の「プリウスPHV」のバックドアの骨格部分や米ゼネラル・モーターズのピックアップトラックの荷台の骨格部分など徐々に採用するモデルも増えているが、それでも車種や用途は限られてきた。一定数以上の量産にはコストや精度の面でカベがあったためだ。日産でもスポーツ車「GT-R NISMO」のルーフやフロントバンパーなど一部車種での採用にとどまっていた。

炭素繊維を使うセンターピラーの製造工程

 「量産する上での阻害要因は、原材料費より製造工程にかかるコストが大きい」と坂本副社長は話す。その最大の要因がCFRPの成型の難しさだ。

 CFRPを成型する工程では、金型内にある炭素繊維へ樹脂を流し込む。その際、均一に流し込まないと強度にばらつきが出るため、精度や量産スピードの向上、そしてコスト削減に限界があった。樹脂の流れを分析した上で金型を何度か作り替え製造する方法もあるが、費用がはね上がったり、金型の作製に時間がかかったりしていた。