いつかはクラウン――。そんなキャッチフレーズで一世を風靡したトヨタ自動車のロングセラーの高級車「クラウン」。トヨタは7月15日、16代目となる新型車を発表した。多目的スポーツ車(SUV)など4つの車体タイプをそろえ、世界約40カ国・地域で順次販売する。時代の流れに逆らえず販売が低迷していた国内専売の「おじ様の車」と決別し、グローバルプレミアムカーとして復権を狙う。
「クラウンは、今まではかっこいいおじ様が乗るイメージだった。例えば、女性が乗っていると『ご主人のを借りたのですか?』と言われ、若い人が乗っていると『お父さんのを借りたの?』と言われた。今回は、どれに乗っても『自分の車』と言えるラインアップがそろった」
「クラウンの15代にわたる歴史は絶えず革新にチャレンジしてきた歴史だった。(中略)ロングセラーが生き残っていく方策は、自らが変わっていくことだと思う」
16代目クラウンの発表会に出席したトヨタ自動車の豊田章男社長はプレゼンテーションや質疑応答の場で、「革新」「変化」といった観点を繰り返し強調した。

かつての代替わりの際、「ゼロクラウン」「リボーン(生まれ変わった)」といった言葉で新しさや変化を訴えたものの、伝統的なセダンの形を脱することはなかったクラウン。16代目は4タイプのうち、3タイプは多目的スポーツ車(SUV)、またはSUVの要素を取り入れた「クロスオーバー」車としたことで、変化の幅ははるかに大きい。
新クラウンシリーズの第1弾となるクロスオーバーはハイブリッド車(HV)で今秋ごろ、その他は2023年にそれぞれ発売する予定だ。クロスオーバー車の価格は435万円からと、15台目クラウンに比べ50万~100万円引き下げ、従来よりも幅広い顧客の獲得を目指す。
発表会の場では16代目クラウンの開発がスタートするきっかけとなったエピソードが紹介された。
マイナーチェンジの提案を蹴飛ばす
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