四輪の立ち乗りカートが倒れる木々をかき分け、消火用のホースを運んでいく。森林火災の現場では転がる木々や石が邪魔になるため、火災現場までトラックや消防車が入り込めないケースが多い。重さにして10~15キロのホースを消防隊員らが持ち、何往復もする。そんな過酷な現場もある。

 消防車事業で国内最大手のモリタホールディングスが2020年から販売を始めた運搬車「Ez-Raider(イーゼットライダー)」は道路が崩壊したり、山火事が発生したりした際に、荒れた路面で重い道具を運ぶのに適している。モリタHDの事業会社にあたるモリタのCF事業部技術開発課の松田智史氏は「華奢(きゃしゃ)な人間でも、ポンプやホースなど450キロの荷物を運べる」と話す。

 消防車のシェアで59%を誇るモリタHDは、こうした災害に役立つ車を開発・販売している。同社のように、「働くクルマ」を製造・開発するメーカーは、日野自動車など商用車メーカーから車体を買い付け、荷台に当たる部分に消防車やゴミ収集車などの専用装置を取り付けることが主なビジネスだ。

 派手な広告宣伝をする乗用車メーカーとは違い、主な顧客は自治体や地域の消防団。自治体の要望に合わせたきめ細やかな仕様に対応する。例えば地域の消防団員が準中型免許を持っていなくても運転できるように小型消防車を開発するなど、顧客の要望に合わせた特注品を手がける。こうした車が火事や地震の発生時に活躍する。独自開発車両の貢献などもあり、モリタホールディングスの21年3月期の売上高は846億円、営業利益は88億円とコロナ禍の中でも堅調を維持している。

 同社の代表的な消防車が、化学薬剤に少量の水を混ぜて泡にして火を消すシステム「CAFS」を使った消防車だ。今でこそ化学薬剤を使った消防車は多くあるが、阪神大震災で水道管が破壊され、多くの消防車が水の確保に困った経験から開発・販売につなげた。また、11年の東日本大震災の際に福島県で発生した原子力発電所の事故を受けて、窒素を使って消火できる新たな消防車も開発。すでに日本原燃が導入している。

 16年にはフィンランドの消防車メーカー、ブロント・スカイリフトを買収するなど、同社は開発でも事業の面でも「消防車」を深掘りすることが競争の源泉だった。

モリタホールディングスは消防車で高いシェアを持つ
モリタホールディングスは消防車で高いシェアを持つ
空気から窒素濃度を高めた気体を作り出し、消火薬剤として放出できる消火設備を備えた消防車など、モリタHDは消防車を深掘りしてきた
空気から窒素濃度を高めた気体を作り出し、消火薬剤として放出できる消火設備を備えた消防車など、モリタHDは消防車を深掘りしてきた

 だが、同社は現在、冒頭のイーゼットライダーを含め、さまざまな災害への対応や防災に役立つようグローバルでの「総合防災ソリューション」の提供を掲げる。消防車で59%のシェアがある中で、「総合防災」へと看板を掛け替えたのは、次世代技術「CASE」を見据えているためだ。

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12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
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