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 日産自動車は7月15日、国内で2021年半ばの発売を予定するクロスオーバーSUV(多目的スポーツ車)型の電気自動車(EV)「アリア」を世界初公開した。「アリアには日産車の魅力がすべて詰まっている。単に新型車の1つではない。日産の歴史の新たな扉を開くモデルだ」。日産の内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)は発表会でこう強調した。

新型EV「アリア」を発表する内田誠社長兼CEO(右)

 アリアの価格は補助金など込みの実質で約500万円からとなる見込み。上位グレードはそこから100万円以上高くなるもようだ。決して大衆車とは呼べないが、アリアの開発責任者、第一製品開発本部の中嶋光車両開発主管は「日産の象徴であり、もうけようという車ではない」と断言する。

 日産がEV「リーフ」を市場に投入したのは2010年。量産型EVでは先行したように見えるものの、EV専用のプラットホーム(車台)を独自で開発したのはアリアが初めて。「リーフは既存のガソリン車の車台を活用していて、電池を置くスペースは凸凹があった。アリアはEV専用の車台で車両下部に高さ12センチメートルの薄型電池を平面に這わせている」(中嶋氏)。それにより、室内空間と電池容量の両方を確保したという。

 リーフは19年1月に発売した上級モデル「リーフ e+」で容量62kWhの電池を搭載した。一方、アリアでは電池容量が65kWhと90kWhのモデルがある。90kWh(2輪駆動車)の場合、公的な計測上の航続距離は610キロメートルに達する。

アリアに搭載されるプラットフォームのイメージ(19年の東京モーターショーでの発表内容)

 専用車台の開発により、モーターとエアコンユニットが入る「モータールーム」も小型化した。前輪の中心と後輪の中心の長さは2.775メートルとSUV「エクストレイル」より7センチ長い。電池の容量を大きくできただけでなく、車室空間のゆとりにもつながった。エアコンユニットがモータールームに組み込まれたため、前席も足元の仕切りが無くなっている。

 電池を一定温度に保つ仕組みも取り入れた。リチウムイオン電池が充放電の能力を発揮しやすいセ氏30~50度を維持するように、水冷式の配管を電池内に組み込んだのだ。リーフなど従来のEVでは、夏場などに電池が高熱となり十分に充電できないケースもあった。