6月17日に技術・商品方針説明会を開いたマツダ。EV(電気自動車)一辺倒にはならず、ハイブリッド車(HV)の開発・生産も継続する方針を明確にした。年間販売台数が約141万台(2022年3月期見通し)で「中堅」といえる規模のマツダが全方位戦略を取るのはなぜか。

 「二酸化炭素(CO2)の削減を実現するために、マツダは(多様な車種構成の)マルチソリューションを掲げている」。マツダの研究開発・コスト革新統括である廣瀬一郎専務執行役員は17日の説明会でこう強調した。当面は「EV一辺倒」にはならないとの宣言だ。

 生産台数に占めるEVの比率は前倒しで高めていく。30年のEV生産比率を従来見込みの5%から25%に引き上げることを明らかにした。欧州で先に発売したマツダ初のEV「MX-30 EV MODEL」を21年1月に日本で発売したのに続き、22年から25年にかけて3車種のEVを新たに投入していく。25年以降には、専用のプラットフォーム(車台)を使った新たなEVの生産も計画する。

マツダの「MX-30 EV MODEL」は欧州で販売台数が1万台を突破した

 マツダは18年の時点で「30年をめどに電動車の比率を100%にする」との目標を掲げており、その目標に変更はない。マツダらしさが出たのは、EVの投入計画に加えて、プラグインハイブリッド車(PHV)を5車種、HVを5車種投入する計画も示したことだ。

 一口に「電動化目標」といっても、自動車各社によって戦略は異なってきている。スウェーデンのボルボ・カーはEVの販売比率を30年に100%とする目標を掲げるなど、事実上の「EV専門メーカー」になる計画だ。欧州では排出規制が厳格なこともあり、大型車に強い米フォード・モーターも欧州で販売する乗用車についてボルボと同様に30年にEVを100%にする。独フォルクスワーゲングループのアウディは22日、26年以降に投入する新型車をすべてEVにすると発表した。国内勢ではホンダが40年に世界の新車販売をすべてEVと燃料電池車(FCV)にする計画を打ち出している。

 一方、多様な車種で電動化を実現する「全方位戦略」を取る代表格がトヨタ自動車だ。トヨタは5月に開いた決算会見で、30年までの電動化計画として電動車の販売を550万台から800万台に引き上げると発表した。そのうちEV・FCVは2割で、HVなどの選択肢を消費者に残している。

ホンダの逆を行くワケ

 年間販売台数でいえばトヨタ(グループで1055万台。22年3月期見通し)の約7分の1であるマツダ。中堅規模でありながら、ホンダのようにEVとFCVに絞り込むわけでもなく、EVに加えてHVやPHVなど多様な方式を手掛け続ける狙いはどこにあるのか。

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