リーマン・ショック以上ともいわれるコロナ禍のインパクトに襲われる自動車産業。新型コロナウイルスがもたらすニューノーマルは、自動車産業の構造をどう変えていくのか。自動車各社の戦略やモビリティーの動向に詳しいアーサー・D・リトル・ジャパンの鈴木裕人パートナーに聞いた。
関連記事
・SBI証券・遠藤氏「車販売回復、米中欧は想定より早く」
・東大・藤本教授「自動車生産、日本の地位は下がらず」
新型コロナウイルスによって「新しい生活様式」が広がりつつあります。自動車産業にどのような影響があるでしょうか。

アーサー・D・リトル・ジャパン、東京オフィスパートナー。東京大学大学院工学系研究科修了。自動車、産機、エレクトロニクス、化学、その他製造業における事業・技術戦略の策定支援を専門とする。
アーサー・D・リトル・ジャパンの鈴木裕人パートナー(以下、鈴木氏):中長期的に「削られる移動」と「削られない移動」に二極化し、モビリティーのシフトが起こるだろう。「自宅から都心オフィスへの通勤」といった移動の多くが不要になる一方、郊外で仕事をしようとすると、「生活の足として車が必要」という場面が出てくる。
ほかにも、都心でカーシェアリングを利用していた人の中には、「やっぱり自分の車がいるよね」と思った人も少なくない。こうした人々の行動の変化がどれくらいのインパクト、頻度で起こるかはまだ分からないが、ある程度のマグニチュードになる。
こうしたモビリティーのシフトが顕在化してきているのが中国だ。足元で販売が戻ってきているが、車を購入する人の中には「今まで公共交通で移動していたが、パーソナルモビリティーがいい」という声があると聞いている。
ASEAN(東南アジア諸国連合)など既に渋滞が社会問題となっていた所でどれくらい同じことができるかが課題だ。渋滞対策としてゴジェックなどのライドシェアサービスが積極的に使われている中、さらにパーソナルモビリティの需要が増えるとなれば、場面や利用のバランスが重要になってくる。
米国はもともと多くの人が車を持っている社会だったので、「これを機に持たなくなる」という人はいないだろう。コロナが来る前、グローバルでの販売台数はおよそ9000万台で、今後1億台に到達すると共通認識で考えられていた。そこに至るまでのスピード感は減速するかもしれないが、普及余地はまだ間違いなくある。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り2134文字 / 全文3049文字
-
【締切迫る!】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【初割・2カ月無料】有料会員の全サービス使い放題…
特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題
ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題
日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題
この記事はシリーズ「クルマ大転換 CASE時代の新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?