日産自動車と三菱自動車が、共同で企画・開発を進めてきた軽自動車のEV(電気自動車)を発表した。国内の競合メーカーに先駆けて軽市場にEVを投入する。EVになじみがなかった主婦層や地方を新たなターゲットに据え、EVの本格普及を図る。高級志向の米テスラなどとは一線を画する新型車で日本にEVを根付かせる戦略だ。
「毎日の買い物や送り迎えにEVを」。5月20日にお披露目した軽EVの発表会で、日産自動車と三菱自動車は新たなライフスタイルや車の使い方を提案した。日曜日の夜に自宅で8時間充電すれば、平日の日常使いで2日以上走ることができるとアピールした。
購買層の主なイメージは地方都市や郊外で持ち家に住む主婦層だ。複数の車を持つ家庭のセカンドカー需要を狙う。ガソリンスタンドが自宅から遠い地方特有の課題を受け、自宅での充電を推奨。災害時には一般家庭の1日分の電力を賄える非常用電源としての使い勝手も訴えた。

これまで国内で購入できるEVといえば、1台500万円以上する米テスラなど高級車が中心だった。今回の新型車の登場を機に、国内新車市場の約4割を占める日本独自の軽自動車市場でEVの販売競争が始まる。国の補助金55万円を差し引くと実質価格は「日産サクラ」が178万円から、三菱自の「eKクロス EV」は184万円からとなる。
価格と性能のバランスを考慮した結果、フル充電1回当たりの航続距離は180キロメートルに抑えた。三菱自の調査によると、軽自動車のユーザーの8割は1日の走行距離が50キロ以下のため、「日常使いには十分」(同社)という。

共同開発・生産でコスト低減
180万円前後の価格を実現した背景には、バッテリー単体の価格低下や搭載するバッテリーの数の抑制に加え、2社の軽自動車分野での協業によって開発・生産コストの分散・低減を図れたことがある。軽EVは共同出資会社のNMKV(東京・港)が主導し、日産が開発設計を、三菱自が生産をそれぞれ担当する。バッテリーやモーターなど中身は共通化した。

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