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 新型コロナウイルスにより「リーマン以上のインパクト」(豊田章男トヨタ自動車社長)とされる荒波にあるコロナ禍の自動車産業。経済活動の再開により工場の再稼働など徐々に事業は元に戻りつつあるが、自動車各社の経営にはこれから影響が出てくるとみられ、サプライチェーンや生産能力、販売手法の見直しは避けられない。

 今後の自動車産業に何が待ち受けているのかを、業界に精通する識者やアナリストに聞いていく。初回は主に世界市場の展望について、長年にわたり自動車産業をウオッチし続けてきたSBI証券の遠藤功治企業調査部長に聞いた。

遠藤功治(えんどう・こうじ)氏 SBI証券企業調査部長。1984年に野村證券入社。SGウォーバーグ、リーマンブラザーズ、クレディスイス他、外資系投資銀行にて活躍、証券アナリスト歴は通算35年。

コロナショックで自動車販売が落ち込んでいますが、中国では回復がみられます。

遠藤功治・SBI証券企業調査部長(以下、遠藤氏):回復ペースは我々が考えていたよりかなり早い。足元で中国がプラスとなったが、当初は6月からとみていたので2カ月の前倒しだ。1~3月は大幅に下がり、工場が止まった2月には80%減となった。この期間に買わなかった人が4~5月に購入している。

 国を挙げて、腕力で販売台数を持ち上げている印象だ。中国において車はGDPの1割とされ、間接的な波及効果も入れると3割くらいを占める。景気を元に戻すために自動車産業は重要で、中央、地方政府が総動員で策を打っている。ナンバープレートの発給制限緩和も効いている。SARSのときと同様、公共交通機関に乗りたくない人もマイカーを求めている。