出そろった国内自動車メーカーの2021年3月期決算は、コロナ禍の影響で全7社が減収だった。今期の業績回復のけん引役として期待するのが、販売台数がコロナ前の水準に近づいた北米市場だ。ただし、金融緩和と半導体不足による需給逼迫という特殊要因が好調を支えている側面がある。

国内の自動車メーカーの業績が、コロナ禍での新車需要減少から回復しつつある。22年3月期の業績予想を開示した6社(トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、SUBARU、三菱自動車)は、すべて売上高が21年3月期を上回る見通し。うち5社は最終損益が改善する。
各社の業績回復のけん引役となりそうなのが北米市場だ。今期の北米での販売台数を、トヨタは17.6%増、ホンダは14.9%増、日産は17.1%増と見込む。いずれも世界販売台数の伸び率を上回る水準だ。
「以前の日産より良くなった」
「米国では再び利益を伴った成長ができる」。日産のアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は5月11日の決算会見でこう自信を見せた。20年3月期に159億円の営業赤字だった日産の北米事業は、前期に463億円の営業黒字に転換。21年1~3月の販売台数が前年同期を上回ったことに加え、「1台当たりの販売価格が改善している」(グプタCOO)。
1年前に事業構造改革計画「NISSAN NEXT」を発表した日産は、奨励金を積み上げて販売台数を増やす拡大路線からの転換を急いできた。今期は営業損益がトントンの見通しで「営業利益率を2%以上にする」との中間目標の達成は難しい情勢だが、奨励金も減り「以前の日産よりはるかに良くなっている」(グプタCOO)と自己評価する。
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