未曽有の原材料高が新型コロナウイルス禍から回復途上にあった自動車業界を襲っている。2022年3月期(前期)に最高益をたたき出したトヨタ自動車は原材料価格の高騰で、今期は一転、約2割の最終減益を見込む。営業利益段階の影響額は1兆4500億円に達する。為替の円安で一部は吸収できそうとはいえ、自動車各社にとって大きな試練となる。

 「1兆4500億円は過去にないレベル。材料価格が上がっているので、材料の使用量を少なくしたり、より安価なものに変えたりする取り組みをしなければならない」。トヨタ自動車の近健太副社長は11日の決算会見でこう語り、表情を引き締めた。

 トヨタの22年3月期の連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前の期比36.3%増の2兆9956億円となり、6期ぶりに最高を更新。国内企業としても最高となる利益を計上した。売上高は15.3%増の31兆3795億円、純利益は26.9%増の2兆8501億円だった。

一部で値上げも検討

 コロナ禍からの回復傾向が続く車需要を取り込み、欧米や国内で小型車「ヤリスクロス」をはじめとするハイブリッド車(HV)の売れ行きが好調だったことなどが寄与した。国内、北米、欧州、アジア、その他の地域の全てで営業増益を果たし、トヨタの稼ぐ力の強さを示した。

 だが冒頭の言葉通り、トヨタの経営陣に浮かれている様子はない。半導体不足やウクライナ危機の長期化に加え、鋼材、樹脂、非鉄金属などあらゆる原材料の価格が高騰しているからだ。

 これに伴い、トヨタは今期の原材料高騰の影響が営業利益段階で1兆4500億円に達すると見積もった。前期の6400億円から2倍以上に膨らむ。そのマイナス要因を吸収するのは難しく、今期の営業利益、純利益は2兆4000億円、2兆2600億円と、それぞれ約20%減少する。

原材料費の高騰によって自動車メーカーの収益は圧迫されている(写真はトヨタ自動車の生産ライン)
原材料費の高騰によって自動車メーカーの収益は圧迫されている(写真はトヨタ自動車の生産ライン)

 巨大なマイナス要因をいかに抑え込むか。トヨタは「資材インフレに伴い、少しお金を頂戴する層もいる。きめ細かく見ていきたい」(長田准・執行役員)と価格転嫁による値上げも示唆した。高級車ブランド「レクサス」などが対象になるとみられる。

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