ブリヂストンは東京都小平市で、研究開発(R&D)拠点「ブリヂストンイノベーションパーク」を本格稼働させた。2021年12月期に過去最高となる3940億円の連結純利益を記録した同社は、構造改革で合理化を進めつつ、デジタル時代の自動車市場を見据えた一段の収益拡大を狙っている。新施設はさまざまな企業との共創による新ビジネスの開発の舞台となる。

 「スピードと柔軟性を持った開発を可能にしていく」。ブリヂストンの坂野真人グローバルCTO(最高技術責任者)はイノベーションパークの開所式典で意気込みを示した。新たな高機能商品やサービス、ビジネスモデルの開発が主な目的だ。

4月下旬に稼働した「ブリヂストンイノベーションパーク」(東京都小平市)
4月下旬に稼働した「ブリヂストンイノベーションパーク」(東京都小平市)

 ブリヂストンが施設全体に投じた額は約300億円。今回新たに稼働するのは、企業や研究機関との共同研究を含めて社内外の共創を推し進めるための施設「ビーイノベーション」と、テストコースの2つだ。

 ビーイノベーションには共創の工夫が凝らされている。新たなアイデアを生み出すため、ブリヂストンの商品や素材を展示した部屋や、遠隔地の映像を映し出す視野角130度の大型スクリーンのある部屋を設けた。たとえば鉱山とリモートでつなぎ、現場にいるような感覚で会議ができるようにする。

 素材や映像を見ることで、会議室でただ話し合うよりも、現場の課題や技術に沿ったアイデアが生まれるという。試作品を製作するのに使う3次元(3D)プリンターやレーザーカッターがある部屋では、思いついたアイデアをすぐに形にできる。目指すのは「『すぐに形にして、すぐに試す』を繰り返すアジャイル(機敏な)開発」だ。

試作品をすぐに作れるよう、3Dプリンターやレーザーカッターを備える
試作品をすぐに作れるよう、3Dプリンターやレーザーカッターを備える

 「オープンイノベーション」を志向する姿勢は設備にも表れている。協業先の社員が自らの会社の会議などに出られるようテレワークボックスを用意。数週間単位で一緒に働く協業相手が他の仕事もできるように配慮した。

 パートナーとして想定するのは、化学メーカーやセンサーの開発などを手掛ける精密機器メーカー、大学のような研究機関だという。

 テストコースは1周約1キロメートルの周回路と約60メートルの多目的路から成る。ブリヂストンはすでに栃木県にテストコースを持つが、そこは主に商品の最終確認のための施設。坂野グローバルCTOによると「エンジニアからはもっとすぐに開発したアイデアを試せる場が欲しいという声が上がっていた」。

 エンジニアらが集う開発拠点にテストコースを併設することで、こうした声にこたえ、試作と実験を素早く繰り返せるようにした。ブリヂストンが外部との協業を推し進め、開発のスピードを上げようとしている背景には、主力のタイヤ事業などを巡る競争環境の大きな変化がある。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1066文字 / 全文2173文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「クルマ大転換 CASE時代の新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

ウェビナー開催 西口一希氏とミスミに学ぶ 会社を成長させる「顧客理解」

 これまで約40社の経営を支援してきたStrategy Partners代表の西口一希氏。「成長の壁」に悩む多くの経営者に対して「企業の成長に伴い、顧客よりも財務の数字や組織運営に関心を向けてしまう問題」の大きさを指摘してきました。
 日経ビジネスLIVEでは、成長の壁に悩む経営者や事業責任者、さらに現場で取り組む層に向け、西口氏が『顧客起点の経営』について語るウェビナーを2週連続で開催します。ぜひご参加ください。


■第1回:2022年7月5日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:なぜ企業の成長は止まるのか? すべてのカギを握る顧客理解
■講師:『顧客起点の経営』著者・Strategy Partners代表 西口一希氏

■第2回:2022年7月12日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:顧客を分析、ニーズに対応して急成長 ミスミ「meviy(メビ―)」事業に学ぶ
■講師:西口一希氏、ミスミグループ本社 常務執行役員meviy事業担当・ID企業体社長 吉田光伸氏

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料(事前登録制、先着順)。

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。