小型電動モビリティーのシェアリングサービスを手掛けるLuup(ループ、東京・渋谷)は、4月下旬から電動キックボードのシェアリングサービスを実験的に開始する。4月15日に発表会を開いたループの岡井大輝社長は「ユーザーだけでなく、街全体から好かれるサービスを目指す」と意気込んだ。

ループによる公道での電動キックボードの実験は2回目となる。2020年秋には第1弾として、電動キックボードのレンタルサービスを提供した。道路交通法の「原付き」扱いで、ヘルメットの着用や免許携帯などが必要だった。
第2弾となる今回は、経済産業省の新事業特例制度の下で実施する。ループのサービスで貸し出す電動キックボードは「小型特殊自動車」と扱われ、認可区間ではヘルメットなしでの走行を認める。4月下旬に認可が下りてから開始し、少なくとも半年間は続ける計画だ。
サービス提供エリアは都内の渋谷区、新宿区、品川区、世田谷区、港区、目黒区の6区を予定する。まずは100台の電動キックボードを配備し、順次増やしていく予定だ。キックボードを停留できるポートは約200カ所あり、利用者はキックボードが置いてあるポートから、予約時に指定した行き先のポートまで利用できる。実験中の利用料金は、最初の10分間が100円、それ以降は1分当たり15円。サービスを利用する際には、事前に免許証の登録が必要となる。
キックボードの速度制限は時速15キロメートル。前回の実験では時速20キロメートルだったが、小型特殊自動車としての区分に伴って速度を抑えることになった。さらに利用者のハードルも少し下がった。いわゆる「自転車レーン」に加えて自転車道での走行が可能になった。また、ヘルメットの着用が任意になり、ヘルメットを持ち歩いていない人が手軽に利用できるようになった。
ループに加え、EXx(エックス、東京・港)、mobby ride(モビー・ライド、福岡市)、長谷川工業(大阪市)の計4社が4月以降、電動キックボードのシェアリングサービスを各地域で始める予定だ。15日には警察庁の有識者検討会が、時速15キロメートル以下の電動キックボードや立ち乗り電動二輪車の規制緩和の指針を示した。路側帯や自転車道での走行を認め、ヘルメットなしでの利用を許可する方針だ。新しい移動手段としての定着に向けて電動キックボードに追い風が吹く。
ループの岡井社長は20年秋からの実験で利用者が徐々に増えてきたことに触れ、「短距離の移動手段のニーズがコロナ禍で拡大している」と指摘した。タクシーやバスなどでの人との接触を避けたいと考える利用者への定着を期待する。都内での実験開始後、大阪市にも展開する予定だ。
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