日本の自動車業界でロシアでの事業再開を危ぶむ声が出てきている。トヨタ自動車は3月初めに早々と生産活動を凍結。日本の完成車メーカーで唯一今も生産・販売を続けるマツダも部品がなくなれば操業を止める。ウクライナの一般市民に対する残虐行為が次々に伝えられ、ロシアに対する国際世論は厳しさを増す。経営陣はレピュテーション(評判)リスクを意識せざるを得ない。
「前期にやっと赤字から黒字になって期待していたが・・・・・・。ウクライナ情勢を踏まえるとロシア事業はビジネスとして今後成り立たないと判断した」。こう語るのは、ウクライナ侵攻の影響でロシア事業からの撤退を決めた自動車部品大手ティラドの関係者だ。
ティラドは2009年、ロシア西部の工業都市ニジニ・ノヴゴロドに進出し、主に自動車向けの熱交換器を製造・販売してきた。だが、ウクライナ侵攻が始まって以降、ロシアの通貨ルーブルを使った対外取引が難しくなり、ロシア国外からの部品調達が行き詰まった。

撤退理由はそれだけではない。ティラドはいったんは事業を継続しようと、現地での部品調達を模索。ロシアのアルミ大手ルサールを新たな資材調達先の候補として絞り込んだが、自動車部品用に特殊加工できないという技術的な問題にぶつかった。
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