ロシアによるウクライナ侵攻でロシアが主要生産国である資源の価格が上昇し、自動車産業にも影を落としている。顕著なのがニッケルで、電気自動車(EV)の基幹部品であるバッテリーの原価に上昇圧力がかかっている。自動車メーカーのEVシフトの目算が狂いかねず、各社はコストの吸収や代替技術の開発などを迫られる。

 「テスラとスペースXは原材料価格と物流のインフレ圧力に直面している」。電気自動車(EV)大手、米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は3月14日、ツイッターにこう書き込んだ。翌15日、テスラが「モデル3」など主要な製品を最大10%値上げしたことが米メディアの報道で明らかになった。前の週にも価格を引き上げており、2週連続の大幅な値上げとなった。

テスラのマスクCEOによる3月14日の投稿。この書き込みの翌日に米国での値上げが報じられた(マスクCEOのツイッターから)
テスラのマスクCEOによる3月14日の投稿。この書き込みの翌日に米国での値上げが報じられた(マスクCEOのツイッターから)

 同じ日に中国でも、EV大手の比亜迪(BYD)が乗用車の価格を3000元(約5万6000円)~6000元引き上げると発表した。遠く離れた米国と中国の有力EVメーカーがほぼ同時に値上げしたことは、世界中の自動車メーカーが原材料価格の高騰に直面していることを映し出す。

 ロシアのウクライナ侵攻によって、新型コロナウイルス禍からの回復局面で進んでいた原材料価格の上昇に一段と拍車がかかった。特に目立つのが、ロシア企業への依存度が高いとされる、EVのバッテリーの正極材に使われるニッケルの高騰だ。

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