交通混雑や事故を減らし、人々の安全で快適な暮らしを支える──。ソフトウエアを身にまとった未来の車はもはや単なる移動手段ではない。無数の車が集めるデータが切り開く、未来の社会と商機を展望する。

■これまでの掲載記事
(1)風雲児テスラ、ソフトを主役に 「進化する車」で自動車業界揺さぶる
(2)ソニー・ホンダEV連合の衝撃 脱・車の発想でテスラ、アップルに対抗
(3)トヨタ、VWが開発急ぐ車載OS ソフトを制する者が「未来の車」制す
(4)自動運転技術で争奪戦 トヨタ・VWはM&A、グーグルも勢力拡大
(5)ファーウェイ、エピック…… ソフト化する車に商機、異業種群がる
(6)「iPhoneの頭脳の16倍」も 車載半導体、高性能化で火花
(7)巨大化する車載ソフト開発に人材難の壁 日産はインドの巨人と組む
(8)シンガポール丸ごとデジタル化 未来の車が社会課題解決担う

 走行中の自動車からリアルタイムで集めたデータを基に都市インフラを整え、社会課題を解決する──。東南アジアのデジタル先進国シンガポールで、そんな未来を生み出すプロジェクトが進む。

 その名も「バーチャル・シンガポール」。550万人が暮らす都市国家の建物や道路を精緻な立体モデルとしてコンピューター上に再現。天候や時間帯、車や歩行者の通行量など条件を自在に変えながら、インフラや商業施設、居住地の整備といった都市開発についてシミュレーションできる。同国のリー・シェンロン首相が提唱する「スマート国家」構想の取り組みの一つだ。

 フランス西部レンヌでも同様のプロジェクトが進む。いずれの街も導入しているのが、3次元(3D)ソフト大手、仏ダッソー・システムズのソフト「3Dエクスペリエンスプラットフォーム」。今後、賢いソフトとそれを強力に動かす頭脳(半導体)を載せた自動車が、「走るセンサー」として街の情報を収集する。ソフトはいわば車と街を結ぶ「懸け橋」だ。

仏レンヌの街づくりに使われるダッソー・システムズの3Dモデル。都市計画を自在にシミュレーションできる
仏レンヌの街づくりに使われるダッソー・システムズの3Dモデル。都市計画を自在にシミュレーションできる

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