いすゞ自動車は3月7日、量産EV(電気自動車)トラック「ELF(エルフ) EV」を初公開し、販売を始めた。これで国内主要商用車メーカー3社のEVトラックが出そろった。本格化する競争を制するカギは、EVトラックを導入・運用する輸送事業者を支援するサービスにありそうだ。
いすゞは主力の小型トラックの「エルフ」を17年ぶりに全面改良し、合わせて同社として初となるEVトラックを売り出した。1度の充電で走れる航続距離は100キロメートル前後で短距離の配送などの利用を想定する。価格は明らかにしていない。

EVトラックについては、三菱ふそうトラック・バス(川崎市)が業界に先駆けて2017年に「eCanter(eキャンター)」の量産を開始し、日野自動車も22年6月に「日野デュトロ Z EV」を発売している。いすゞもこれに追い付いた格好だ。
eキャンターの国内累計販売台数は130台超、日野デュトロ Z EVは約230台と、いずれもまだ実績は限られる。今年は3社によるEVトラックの顧客争奪戦が活発化しそうだ。市場の黎明(れいめい)期にある、このタイミングでどこまで顧客を囲い込めるかは今後の競争の行方を大きく左右する。
いすゞのエルフ EVは、部品を機能ごとにまとめて共通化し、様々な部品やデバイスなどを組み合わせる「I-MACS(アイマックス)」という開発手法を採用したのが特徴だ。結果としてディーゼル車との共通部分が多い。
「専用部品をなるべく少なくすることでコストを下げる」(いすゞの開発者)狙いがあった。電池パックも小型化し、サイズや用途に応じて搭載する電池の数を2パック(40kWh)から最大5パック(100kWh)まで変えられるようにした。
もっとも、EVトラック本体については、かなり以前に開発をほぼ終えていたようだ。発表会に出席したいすゞの片山正則社長は「ハードウエアは3年前にはほぼ完成していた」と話す。それなのになぜ、いすゞはEVトラックを投入しなかったのか。
EV導入への不安解消が不可欠
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1812文字 / 全文2683文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「クルマ大転換 CASE時代の新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?