ソフトウエアが主戦場となる自動車産業に企業が続々と集まっている。自動車メーカーや部品メーカー、IT企業が成長をかけて知恵と技術を投じる。飛躍を目指す新興企業、復活をうかがう古豪――。大競争の幕が開けた。

■掲載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)風雲児テスラ、ソフトを主役に 「進化する車」で自動車業界揺さぶる
(2)ソニー・ホンダEV連合の衝撃 脱・車の発想でテスラ、アップルに対抗
(3)トヨタ、VWが開発急ぐ車載OS ソフトを制する者が「未来の車」制す
(4)自動運転技術で争奪戦 トヨタ・VWはM&A、グーグルも勢力拡大
(5)ファーウェイ、エピック…… ソフト化する車に商機、異業種群がる
(6)『iPhoneの頭脳の16倍』も 車載半導体、高性能化で火花
(7)巨大ソフト開発に人材難の壁 日産はインドの巨人とタッグ
(8)シンガポール丸ごとデジタル化 未来の車が社会課題解決担う

 2021年4月、中国の上海国際自動車ショー(上海モーターショー)の会場で、「HI」という赤いロゴが付いた1台の電気自動車(EV)が披露された。中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が開発するEV技術を搭載した車だ。

 HIとは「ファーウェイ・インサイド(Huawei Inside)」の略称で、自動運転機能やEVの駆動部品、車載ディスプレーなど、同社が開発する自動車向け部品やソフトウエアを示す。中国ではすでに国有自動車大手や商用車メーカーなどでファーウェイの製品群の採用が進む。

ファーウェイの製品群を搭載したEV。同社の目的はEVや自動運転車のソフトの主導権を握ることにある(21年の上海モーターショー)(写真:ロイター/アフロ)
ファーウェイの製品群を搭載したEV。同社の目的はEVや自動運転車のソフトの主導権を握ることにある(21年の上海モーターショー)(写真:ロイター/アフロ)

 百度(バイドゥ)、騰訊控股(テンセント)、アリババ集団……。自動車業界で中国巨大IT(情報技術)企業の名を聞くことも、今や珍しいことではなくなった。彼らが自動車産業に触手を伸ばす動機、すなわち、大手自動車メーカーに対抗する彼らの強みはいくつもある。

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この記事はシリーズ「クルマ大転換 CASE時代の新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。