タイで花ひらいた「水上を走る」EV
日本を飛び出して成功したEVスタートアップもある。それがFOMM(フォム、川崎市)だ。19年の春にタイで4人乗りEV「FOMM ONE」の量産を始めた。
ONEは着脱可能なバッテリーを搭載した小型モビリティ。飛行機の操縦かんのような横長のハンドルにアクセルレバーが付いており、手元で加減速を操作する。水害などの緊急時には前輪が回転し、後ろに水を流しながら水上を進むEVだ。現地での販売価格は約220万円で、既に2000台を超える受注があるという。

開発のきっかけは11年の東日本大震災。津波被害を目の当たりにし、水に浮く車をつくろうと考えたのが始まりだった。トヨタ車体で超小型EV「コムス」を開発した経験のある鶴巻日出夫社長を中心に、13年に創業した。
最初に市場として照準を合わせたのは、公道走行の見通しが立たない日本ではなくタイだった。14年2月に完成した初代のコンセプトカーをバンコク・モーターショーで披露。16年に完成させた3代目のコンセプトカーも再びタイに持ち込み、プラユット・チャンオチャ首相の試乗にまでこぎつけた。
首相からは「タイの国民車にしよう」とお墨付きを受けたが、これは単なるリップサービスではなかった。タイにはフォムの車両に適合する規格が無かったため、実際に公道を走れるよう政府主導で自動車規格の法整備が進められたのだ。
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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。
3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。
4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。
各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江
■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)
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