
沖縄本島の中部にある東南植物楽園(沖縄県沖縄市)の一角。西の空を夕日が真っ赤に染めるころから、2列シート、大人4人が乗れる自動運転の電動車両を使ったCG(コンピューターグラフィックス)による園内移動のエンターテインメントサービスが始まる。
箱のような形をした車両「SC-1」。その外側にあるのがソニーとヤマハ発動機のロゴだ。両社はここでヤマハ発製ゴルフカートをベースにした自動運転車両を使った実証実験を2019年11月から進めている。
ボディーの前後左右には55インチの4Kディスプレーが4枚張られ、車内前方にも49インチの4Kディスプレーが設置されている。前方はガラス張りではなく、車室内から前方を見ることはできない。
しかし車内に乗り込むと、夕暮れ時の薄暗さにもかかわらず、思った以上に鮮明な車外の様子がディスプレーに表示されている。ソニーの画像センサーを搭載したカメラで車外を撮影し、画面に映し出している。画像センサーが人間の目で見るよりも明るい画像を検知しているからだ。
ディスプレーに映し出す車外の映像にCGの映像を重ね合わせ、「非日常」の体験を生み出すというのが、電動車両で提供するエンタメ体験だ。

コンテンツは水族館のように画面上に南国の魚たちが泳ぐものと、ホラー体験ができるものの2種類。車両の速度は時速6キロメートルとゆっくりながら、特にホラー体験のコンテンツでは下り坂での「ゴトリ」という動きと映像のすごみで思わずビクッとさせられるほどの没入感がある。
電動車両とエンタメの組み合わせを担当したのはソニーのAIロボティクスビジネスグループ。犬型ロボット「aibo」を手掛けた部隊だ。aiboはかわいらしい外観ながら、センサーのかたまり。多数のセンサーが吸い上げる情報をAI(人工知能)で分析、「飼い主」とのコミュニケーションに生かしている。
AIロボティクスビジネスグループで今回の電動車両のプロジェクトを担当した江里口真朗氏はもともと、スマートフォン「Xperia」を担当していた。世界的にはヒット商品とはいえないソニーのスマホだが、ソニーは次世代通信に必須の技術としてスマホの開発を続けている。
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