電気自動車(EV)大手、米テスラの快進撃が続いている。2022年12月期の世界販売台数は前の期比40%増の131万台強と初めて100万台を超え、マツダ(23年3月期見通し=121万6000台)をしのぐ規模に成長した。だが、ここに来てバイデン米政権の経済安全保障政策がテスラの成長に影を落とし始めている。

テスラの主力EV「モデル3」(写真:テスラ提供)
テスラの主力EV「モデル3」(写真:テスラ提供)

 テスラが1月25日(米国時間)に発表した22年12月期連結決算は、売上高が51%増の814億6200万ドル(約10兆4700億円)、純利益は2.3倍の125億5600万ドルといずれも過去最高を更新した。今期の世界販売を前期比37%増の180万台と見込むなど拡大は続く。22年から今年にかけて、テスラは米国や中国、日本など主要市場で大幅な値下げに踏み切り販売をテコ入れした。これが奏功しているという。

 「需要に対する懸念を払しょくしたい。今月(23年1月)は過去にない数の注文が来た。生産(台数)の2倍近い」。オンラインで開いた決算会見で、イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は強気の姿勢を示した。「サプライチェーン(供給網)の分断など大きな問題がなければ(今期の)生産台数は200万台に達する可能性もある。需要もついてくるだろう」

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 マスク氏の「懸念を払しょくしたい」という言葉は株式市場に向けられたものだ。テスラは破竹の勢いで成長しているものの、前期の130万台や今期見通しの180万台といった販売規模は、テスラ自身が掲げる「年率50%超の成長」という目標を下回る。目標自体が非常に野心的であり、それに達しないからといってテスラの成長が曲がり角に来ているとまでは言えない。だが目標達成には高いハードルがあるのも事実だ。

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

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