トヨタ自動車が発売した2人乗りの小型EV「C+pod(シーポッド)」
トヨタ自動車が発売した2人乗りの小型EV「C+pod(シーポッド)」

 脱ガソリン社会に向け国内自動車メーカー各社が本格的に動き始める中、「もう一つのEV(電気自動車)」市場もにわかに盛り上がりを見せている。

 トヨタ自動車は2020年12月末、2人乗りの小型EV「C+pod(シーポッド)」を発売した。全長2.5m未満、全幅1.3m未満と大きさは乗用車のおよそ半分強。航続距離は150kmほどで、営業や医療などの訪問巡回や個人の買い物といった近距離での日常使いを想定するという。価格は165万円(税込)からで、国の補助金を受ければ実質130万円程度で購入できる。21年内は法人や自治体への販売に限定し、一般向け販売は22年からを予定する。

 シーポッドが分類されるのは、「超小型モビリティ」と呼ばれる新たなカテゴリーだ。軽自動車よりも一回り小さく、最高速度が時速60km以下で高速道路を運行しないという条件がある。

 国内市場では「小回りの利く営業車」「交通弱者の地域の足」としては軽自動車が一般的で、EVという選択肢はあまり現実的でなかった。三菱自動車が10年に発売を始めた小型EV「i-MiEV(アイ・ミーブ)」も当初は軽自動車の規格だったが、18年の改良で全長を伸ばし登録車の規格に変更。300万円を超える車両価格も、手ごろ感を重視する顧客のニーズとマッチしてこなかった。

 超小型モビリティの制度が13年に始まったことで、小型で環境性能の高い乗り物に期待が集まった。トヨタやホンダは1~2人乗りの電動パーソナルモビリティを発表。rimOnO(リモノ、東京・中央)やタジマEV(東京・板橋)など、スタートアップや中小メーカーも相次いで超小型EV開発に乗り出した。

20年の法改正で量産に弾み

 ところが申請車両のみ公道を走行できるという認定制度が普及のネックとなった。エリアに制限があるため実用的ではないので、本格的な量産・普及には至らなかった。

 ただ、ニーズが全くなかったわけではない。トヨタが超小型EVのプロトタイプを発表した19年時点で、100以上の法人から利用を検討する話があったという。

 風向きが変わったのは昨年9月。道路運送車両法が一部改正され一般道を自由に走行することが可能となった。車両の安全基準も新たに設定されたことで、量産製品の発表につながった。

 トヨタのシーポッドの量産に合わせ、サプライヤーも準備を整える。アイシン精機は新たに超小型EV用駆動ユニットを開発。搭載するリチウムイオン電池は、トヨタとパナソニックの共同出資会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズが製造するという。軽自動車にも電動化が求められていく中、サプライヤーの電動部品開発が活発化すれば、車両開発のはずみになる。

 超小型EVを開発しタイで量産しているスタートアップ企業のFOMM(フォム、川崎市)は近く日本でも製品投入を計画している。佐川急便は国内のファブレス企業と連携して集配用小型EVの自社開発に乗り出す。低価格を売りにする中国勢も含め、国内外の新旧プレーヤーによる競争が本格化しそうだ。

この記事はシリーズ「クルマ大転換 CASE時代の新秩序」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。