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新型コロナウイルスの感染拡大によって消費行動は大きく変わりつつある。外出自粛をきっかけに、食品などもECで買う動きが活発になった。こうした変化に小売業はどう対応していくべきか。アフターコロナの世界でも、来てもらえる店舗とはどういうものか。商い創造研究所の松本大地代表取締役に聞いた。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて余儀なくされた外出自粛をきっかけに、人々は消費行動を変えています。

松本大地・商い創造研究所代表取締役(以下、松本氏):新型コロナをきっかけにパンドラの箱が開き、パラダイムシフトせざるを得ない状況になりました。(肉、魚、青果の)生鮮三品は従来、実際にものを見て買いたいという人が多かったのですが、外出自粛を機に、ネットで買うことに慣れた人もいます。そういう変化が広がれば、リアル店舗のあり方が大きく変わってくると思います。

リアル店の強みを磨き上げることが武器になると考える商い創造研究所の松本大地代表取締役

ECや宅配などが伸びる中、リアル店舗は今後どうあるべきでしょうか。

松本氏:スーパーを例に挙げると、2つの方向性が強まっていくでしょう。1つは、AI(人工知能)などの活用で徹底的に効率化した「アマゾン・ゴー・グロサリー」のような店舗。もう1つは、リアルのメリットを徹底的に生かした店舗です。

コロナが広がってから前者については盛んに言われるようになりましたが、リアルを追求する後者についても重要になるのでしょうか。

松本氏:そうなると思います。例えば、米国に「スチュー・レオナード」というスーパーがあります。7店舗ほどの小さなチェーンですが、世界中の小売り関係者が視察に訪れます。

 なぜこんなに注目されているかというと、まずお店自体にエンターテインメント性があって楽しいんです。店内に小さな灯台があったり、どこからか牛の鳴き声がしたりして、「スーパーマーケット界のディズニーランド」と言われています。それに、ミッションをしっかり打ち出している。トレーサビリティーが担保された食材や、こだわりを持った総菜など、顧客にとって本当にいいと考える商品を追求しています。

米スチュー・レオナードの売り場。「お母さんに買って帰れないものは、顧客に出すな」というメッセージを掲げるなど、ミッションを前面に打ち出す

ECでいくらでも買える時代、店舗は単にものを陳列するだけの場所ではダメだということですか。

松本氏:中途半端だと、だんだんと競争優位性がなくなってくる。そこにはもう価格競争しかないですから。価格競争にさらされないようにするには、実店舗で期待以上のものを提供するか、無人店舗やインターネットで効率を追求するか、どちらかを目指すことになるのではないでしょうか。