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 料理レシピの検索サイト大手のクックパッドは、サービス開始から20年となった2018年に、レシピ動画を制作する子会社「クックパッドTV」を設立した。国内のクックパッド月間利用者はピークの6000万人超からここ3年で1000万人ほど減少している。レシピ検索サイト以外の新たな成長分野の開拓が求められる中、出遅れた動画領域でいかに巻き返しを図ったのか。

 若い世代を中心に料理レシピ動画を視聴する人が増えている。先駆けとなったのが、2012年に米国で創業した「テイストメイド」や、「テイスティ」だ。当時、日本でレシピ検索サイトとして確固たる地位を築いていたクックパッドは、その動きを知りながらも、動画に参入する考えはなかった。

 その理由について、クックパッドTVの今田敦士社長は、「動画メディアの動きは注視していたが、クックパッドと相性が悪いと感じていた。クックパッドのユーザーは、献立に困ったときや、すぐに料理を始めたいときに検索するので、レシピを3~4秒だけ眺めて自分で作れるか見極める。動画の場合、料理の流れを把握しようとすると10秒以上はかかり、合わないと思った」と振り返る。

 そうしているうちに、日本でもエブリーが15年に料理動画アプリ「デリッシュキッチン」を、デリーが16年に「クラシル」を始めると、20歳代の若い世代を中心にレシピ動画の認知度が高まった。主婦などと違って、日々の献立に悩んでいるわけではなくレシピ検索サイトにはなじみがない層だったが、SNS(交流サイト)で流れるレシピ動画が「こんなものを作ってみませんか」と勧める役割を果たし、「自分でもできそう」と料理するアクションを生み出した。1時間の調理を1分で見せた動画の伝える力は強かった。

 こうした潮流に乗り切れず、「クックパッドは動画の領域で出遅れてしまった」(今田氏)。遅ればせながら、17年に本格的に動画サービスを開始し、18年に動画子会社のクックパッドTVを設立した。同社はクックパッドに投稿されたレシピを、ユーザーに許諾を取った上で、都内のスタジオで調理して撮影する。その動画をデリッシュキッチンやクラシルのようなユーザー向けアプリで流すのではなく、スーパーの店頭に置くサイネージで流すというBtoBに特化する戦略を取った。

スーパーの店頭のサイネージでレシピ動画を流す戦略に特化した